「プロデューサー豊原功補」が目指す映画の形

製作会社立ち上げ映画「ソワレ」を劇場公開

――俳優としての視点と、プロデューサーとしての視点の違いがあったということでしょうか。

僕は製作委員会という言葉すらあまり好きではなかったんです。でも今回の映画を公開するにあたり、製作委員会を組織しています。実際にやってみて、どういうふうに使えばいいのか、ということがわかってきたし、それは1つの考え方なんだろうなと思いました。そういったことを1つひとつ確かめながらということですね。

ハリウッドでは、ショーン・ペンにしても、ロバート・デ・ニーロにしても、ブラッド・ピットにしても俳優が映画を作っています。かつては日本でも伊丹十三監督がいましたし、最近では山田孝之くんがプロデュースをやっていますが、それでもなんで日本ではそういうことが当たり前に活発じゃないんだろうという気がしていたんです。やれることはきっとあるはずだと思っています。

「映画館に行く意味」を改めて考えたい

――コロナ禍の影響で、映画館では新作が上映できない状況が続いていましたが、この作品も含めて、少しずつ新作が公開されるようになってきました。やはり新作が映画館で上映されるということの意義は大きいのではないでしょうか。

実際は大変です。僕らも映画を観てもらうために、宣伝プランを長いスパンで考えてきました。しかしこういう状況になって、劇場で観てもらうために作った作品が、劇場で観ることができないという現実がある。

豊原功補/とよはらこうすけ 1965年生まれ。東京都出身。82年、俳優デビュー。青山真治監督の『WiLd LIFe』(1997年)で映画初主演。『亡国のイージス』(2005年)、『カメレオン』(2008年)、『闇の子供たち』(2008年)、『座頭市 THE LAST』(2010年)と、阪本順治監督作品に連続出演。主演作『受験のシンデレラ』(和田秀樹監督、2008年)で、モナコ国際映画祭最優秀主演男優賞に輝く。『HiGH&LOW』シリーズなどでもおなじみ。舞台「シブヤから遠く離れて」(2016年)で村上虹郎と共演。2017年、舞台「芝居噺『名人長二』」で、企画・脚本・演出・主演を果たす。2018年、新世界合同会社を設立。映画プロデュースは今作が初 (撮影:尾形文繁)

行定勲監督の『劇場』が、配信と劇場で同日公開して、これが今後どうなるのかというのは注視していますし、僕自身、配信は無視できないだろうなという意識もありました。この映画も8月に公開するべきかどうかは議論しました。

――結論として劇場公開を選択した。

振り返れば、これまでもテレビや、ビデオ、配信など、いくつものプラットフォームが出てきましたが、その中でも映画館はずっと残ってきた。映画館の暗闇の中で、大きなスクリーン、大きな音で観ることは、動かすことができない確固たる体験です。一度体験すればわかるはずだと思うんです。

それに映画館は映画を観るだけの場所ではありません。1人で家に居たくないとか、今日は外に出たいなとか、デートの目的としてとか……。そうしたいろんなシーンで映画館に行きたいなと思う。映画の中身だけが「映画」ではないと思っています。配信は世界中の人に観てもらえることができますが、「映画館に行く意味」はなんだろうと改めて考える必要がある。でも行けばわかると思うんですよね。この映画もそういう1つの体験になればと思っています。

(一部敬称略)

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • ほしいのは「つかれない家族」
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
商社大転換 最新序列と激変するビジネス
商社大転換 最新序列と激変するビジネス
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
日本企業は米中の板挟み<br>全解明 経済安保

先端技術をめぐる米中の争いは日本に大きな影響をもたらします。海外からの投資は経済を活性化させる一方、自国の重要技術やデータが流出し安保上のリスクになる可能性も。分断の時代に日本企業が取るべき進路を探ります。

東洋経済education×ICT