宮崎駿に「ナウシカ」作らせた男の凄いハッタリ 鈴木敏夫の想い詰まった「仕事道楽」の魅力
誰かと何か一緒に仕事をするとき、僕はその相手の想像力を想像します。ある仕事があって「やれますか?」と聞くと、軽く「やれますよ!」と受けたものの、いざ始めるとやっぱりできなかった人がいます。
もしかしたら、あなたにも経験があるかもしれませんが、それだけならまだしも、できない言い訳をあれこれ並べられたことってありませんか?
でも、あなたはもちろん、そういった諸々の理由込みで、始まる前に「やれますか?」と確認したのだと思います。
本当にやれるのか、希望としてやれるのか、両者は圧倒的に違います。結局、その実現までのプロセスをディテールまで想像できるのかという想像力が、両者を隔てているのだと思います。
例えば、面白い企画をたくさん言ってくれるのですが、そのほとんどは実現不可能という放送作家がいたとします。でも、そのアイデアが仮にどれほどすばらしいものであっても、企画は実現できなければ意味がないでしょう。
また、出た結果に文句を言う人もいます。その中には、だいたい「なぜそうなったのか?」という想像力を働かせていないケースも見受けられます。
例えば、小説やマンガなどの原作があるドラマで「何で主役は俳優Cなんだ? Dのほうが原作に合っているのに!」という声、聞いたことはありませんか?
テレビ番組の制作現場の裏側を明かしますと、実はほとんどのケースで、当のスタッフたちだってDさんのほうが合っているなんてわかっています。
では、何でCさんだったのか? それは、Dさんに断られたから。当事者にとっては、すでに通過した議論だったのです。
読書を面白くする秘訣
こういう事例は、コンテンツが成立する過程が想像できていないことと、その事実に無自覚なことから生じていると思います。
コンテンツが成立する過程まで想像でき、つくり手の“想い”まで共有できる本を読めば、読書ががぜん面白くなり、仕事も面白くなってくるはずです。
例えば、みうらじゅんさんの『「ない仕事」の作り方』はおススメしたいです。みうらさんは「仏像ブーム」や「ゆるキャラ」など、それまで世の中に“なかった仕事”を企画していますが、彼のアイデアが生きるのは、実は営業や宣伝など含めて、すべての人間関係を自分でケアしてきたからなのです。
そんな人が自分の仕事術を丁寧に明かしているのですから、まさに自分で何かを生み出したい人、必読です。
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