「鬼滅の刃」イスラムへの不理解が招いた大失敗 ブルーレイ・DVD第4巻が回収になった理由

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サウンドトラックにイスラム教礼拝を呼び掛ける「アザーン」の音声を使用した日本のアニメ制作会社が出荷停止・回収の事態に

不適切の理由は?

テレビアニメ『鬼滅の刃』のブルーレイおよびDVD第4巻の出荷停止・回収を、制作会社アニプレックスが発表した。特典CDに「イスラム教に関わる音声の不適切な使用があったことが判明」したためだという。

問題となったサウンドトラックを聞いてみた。完全にアウトである。

理由を説明しよう。第1に、「イスラム教に関わる音声」とされているものは、実際にはアザーンというイスラム教の礼拝を呼び掛ける「声」である。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

イスラム教の古典教義は楽器演奏や歌を禁じている。預言者ムハンマドがかつて信者に対し、タンバリンをたたいたり歌ったりする少女の元から去るよう命じた、など音楽を禁じる主旨の伝承(ハディース)が多く残されているためだ。ハディースはイスラム教において、啓典『コーラン』に次ぐ第2の法源とされている。

イスラム教の宗教儀礼に深く関わるアザーンを「音源」と見なし、イスラム教で禁じられた音楽にミックスするという行為は、イスラム教の論理においては明らかに神への冒瀆である。

第2に、アザーンにはイスラム教徒に義務付けられた5つの儀礼行為(五行)の第1に挙げられる「信仰告白」の言葉が含まれている。信仰告白は教義の根幹を端的に表現した句であり、イスラム教徒は礼拝のたびにこれを唱える。異教徒がイスラム教に入信する際に唱える句でもある。

問題のサウンドトラックは、この信仰告白の文句をランダムに切り取りミックスしていた。これも明らかな冒瀆行為である。

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