「プロデューサー豊原功補」が目指す映画の形

製作会社立ち上げ映画「ソワレ」を劇場公開

もちろん舞台はライフワークとして続けていくと思いますが、目の前に映画を作るという新たなステージができたときに、この先いろいろな人を巻き込んでいくだろうと。そうすると「明後日」という会社で映画製作に取りかかると、頭の整理も動きもこんがらがってしまって、余計大変になるなと思ったんです。

やはり映画製作会社を作るべきだと思ったし、われわれも映画に対する思いが強い分、これを「新世界」と名付けて、本腰を入れてみようと。やってみないとわからないことがおそらくいっぱいあるだろうと思ったわけです。

映画のプロデュースは面白い

――そうすると「明後日」と「新世界」では、スタッフも別になるわけですか。

そうです。スタッフも別になります。しかし共通しているのは、僕の持っている志と、小泉今日子が持っている志ということだと思います。

ある事件をきっかけに先の見えない逃避行を始める2人の男女が描かれる © 2020ソワレフィルムパートナーズ

――今後「新世界」で新作を作っていこうという思いはあるのでしょうか。

これは本当に参ってます……というのは冗談ですが(笑)。

「新世界」を立ち上げたのが一昨年で、去年、撮影までこぎつけました。その間、実務や製作委員会のことなど、こんなにも仕事が多いのかというくらいの忙しさでした。もちろんこれが公開するまでまったく気が抜けないんです。

しかし、その中でボチボチと「次はどうする?」という意見が出てくるんですよ。でも次のことはまったく考えていなかった。ただ今回は外山文治が書いた脚本で、しかも和歌山で撮影するということでしたから。この企画は、ある種、彼が持ってきたものなんです。次をゼロから発想した場合どういうものにしたらいいのか、ということは考えてはいますが、まずは『ソワレ』を公開まで見届けないことには、自分の可能性も見えない。

それでも映画をプロデュースするのは面白いですし、またやりたいなとは思っていますけどね。

――その見えてきた面白さというのは、どんなものなのでしょうか。

現場で俳優と現場を取り仕切っていくのが監督だとすれば、プロデュースするのは大きな船のようなもの。この映画を運ぶためには、いろいろな労力や時間が必要となる。それを遠目で見て、この帆の張り方でいいのか、この生地でいいのか、この色でいいのか、長さはこれで足りるのか、といったことを、最後まできちんと話ができる。

だから責任は非常に大きいし、気が休むことはないんですが、人と仕事をするうえでの楽しみは、これ以上のものはないですね。生まれてからこれまでの経験と感性のようなものを1つひとつ表現して、それを検証していける。そしてそこで、"もだえうつ”ことができるということはなかなかできることではないです。

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