東大野球部・前監督が野球界に投じる3つの提言

どうすれば「日本人の野球離れ」は収まるのか

新型コロナ禍を経て、野球はどのようになっていくか。

「『野球離れ』は今後10年間はそのまま推移するでしょう。その間に組織をしっかり再編成すべきです。とりわけ、学童レベルの指導体制が充実したときに回復に転じると思います。ただ、回復する2030年には、前述の“2競技流”が普通になってくると思います。それから、プロとアマの垣根がなくなっていると思います。

今後10年間で求められるものは、一言でいうとコミュニケーションです。これは難しい。私も監督時代、10のうち8つくらいは失敗しました。

今の指導者は“結論ありき”から話を始めることが多い。それをやめないといけない。聞かれるまで先に答えを言わない。聞かれたら、『俺はこう思う』と言う。『ステップの幅が広すぎると思うんですが?』『いやそうじゃない、ひざの割れ方だよ』という感じですね」

10代のうちにレッテルを貼る必要はない

浜田氏は野球界を外側から見て、いろんな提言をしている。今後の野球界のキーワードは何だろうか。

子供たちに開放された東京大学野球場(写真:筆者撮影)

「1つ目は『女子』ですね。女子野球の充実にプロ野球のお金を使ってほしい。女子の全国大会の出場チームは、まだ40チームくらいですが、女子の競技人口の増加が非常に重要です。

2つ目は『2競技流』ですね。骨が成長している間は、野球だけじゃなく、いろいろなスポーツを体験してほしい。指導者は、野球チームではなく、スポーツクラブをやっているという感覚になってほしいですね。

3つ目は『文武両道』。『俺はもう野球だけでいいよ』じゃなくて、もうちょっとお勉強してほしい。『勉強しろ』とちゃんと言える指導者がいてほしい。

東京大学の監督時代、いろいろな高校を訪問ましたが、『あいさつさえしっかり教えておけば、将来食いっぱぐれはない』という感覚の指導者が多かった。『ちゃんと考えるように勉強させてはどうか』と言うと 『彼らはカタカナが怪しいレベルだから無理ですよ』とのこと。話をよく聞くと、彼らは『野球だけでいい』と小学生のときから育ってきたらしい。

でも、小中学校から『俺は野球だ』とレッテルを貼る必要はないでしょう。10代で進路を決める必要はありません。20代までは、自分のアイデンティティーを見つけるために、いろいろやってみるのが基本です。野球はその選択肢の1つとして今後、続いていくのではないでしょうか」

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