「夏の甲子園中止」を嘆く大人たちに欠けた視点 新しい野球への転換をできるのは今しかない

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戦後初、夏の甲子園が中止になりました。写真はイメージ(写真:ゆう2002 / PIXTA)

日本高野連は5月20日、今夏の第102回全国高等学校野球選手権大会の中止を決定した。また、実質的な予選である各県の地方大会も中止した。

八田英二日本高野連会長は、「緊急事態宣言が延長され、感染者数の少ない県でも休校や部活動停止の期間が長くなっており、地方大会、全国大会ともに影響が深刻になることが明らかになってきた。39県で緊急事態宣言は解除されたが、学校や部活動の再開の見通しに変わりはなく、このタイミングでの決断になった」と語った。

夏の甲子園中止だけ判断が伸びたのはなぜ

すでに全国高等学校体育連盟は、主催するインターハイ(全国高等学校総合体育大会)の中止を4月28日に決定している。なぜ男子硬式野球だけが3週間も決断が伸びたのか。

4月7日に発出された国の「緊急事態宣言」は、当初、5月6日までだった。状況が好転して宣言が解除されれば、夏の甲子園が開催できる可能性があった。そんな思いもあって、関係者は決定を延期したのかもしれない。

しかし、その後の事態の進展を考えれば、4月末時点で夏の甲子園が開催可能になる可能性はほとんどなかったはずだ。

まだ学校の授業も再開しておらず、授業もできていない中で、部活だけを先行して再開するのは、社会の理解を得られない。しかも、全国一律で「コロナ明け」になることはない。東京や北海道など、感染が収まっていない地域では、学校の再開もままならないからだ。

地方大会は、47都道府県すべてで行われなければならないことを考えれば、夏の甲子園は、かなり早くから不可能だったことは明らかだ。

日本高野連は、各都道府県単位で代替的な試合を考えるように指示を出した。夏季は新型コロナ禍が一時的に収まることも考えられるので、他の競技でもそういう動きは起こるだろう。できることなら、代替イベントをすればよい。

多くの高校球児は、中止が決まればいつまでも拘泥することなく「その先」を向いて歩き始めるだろう。

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