「甲子園中止」の代替大会開催が混乱深まる理由

高校球児への「大人の思い」が空回りしている

夏の甲子園が中止になり、代替大会を大人たちは模索していますが……。写真はイメージ(写真:まーぼう/ PIXTA)

5月20日に日本高野連は、新型コロナ禍による今夏の甲子園(選手権全国大会)と、その予選に当たる地方大会の中止を発表した。以後の展開を見ると、現場が混乱していることがわかる。

日本高野連は、代替大会は都道府県高野連が独自の判断で決めるとした。「球児に甲子園で野球をやらせてやりたい」という声が全国で高まっているから、都道府県高野連はすぐにも代替大会の開催に踏み込むかと思われたが、ことはそれほど簡単ではなかった。

福岡県は代替大会の開催を断念

5月25日には福岡県高野連が、独自の代替大会の開催を断念すると発表した。

その理由として以下の4つを列挙した。

1.県内の感染のリスクは残り、無観客など対策を講じても安全・安心の確保に不安が大きい
2.選手や関係者らに感染者が出た場合、家族、学校、職場に多大な迷惑がかかる
3.練習不足により熱中症が例年以上に増えると予想されるが、発熱を新型コロナによるものか大会役員が見極めるのに限界があり、医療現場にさらなる負担を負わせかねない
4.加盟校の学業は遅れ、土曜授業や夏休みの短縮が予想される中、授業日の公欠が認められるかといった教育上の課題

複数の高校野球関係者からは、大都市圏の高野連を中心に代替大会の実施が難しいのではないかという声も出ている。一方で、佐賀県や埼玉県では代替大会を実施する方向で進めるという。

今のところ、開催を決定した地域、開催する方向で準備を進めている地域、開催しない方向で調整している地域、開催しない方向で決定した地域の4つに分けることができる。

なぜ、このように判断が分かれているのだろうか?

第1に、緊急事態宣言が全面的に解除され、各県の教育委員会が学校再開の方針を打ち出したことがある。ほとんどの都道府県では、約3カ月の休業のブランクを埋めるために、夏休みを短縮し、7、8月も授業を行うとしている。また土曜日を授業に充てる地方も出てきた。

通常、高校野球のトーナメント戦は夏休みには平日にも行われる。参加校数の多い地方では土日だけでは試合を消化できないからだ。7、8月に授業が行われれば、試合に出ることは難しくなる。

「私学なら、公欠扱いもできるかもしれませんが、公立高校は難しいです。それにこの時期に定期考査もあるので、勉強をしないとダメです。だから試合は難しい」

ある関西地方の公立高校監督は言った。

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