大森南朋のナギサさんが支持される納得の理由 熱演の陰にある等身大のサクセスストーリー

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また、数年前にあるCM撮影でインタビューしたとき大森さんは、「今でもこうしてカメラの前に立つと緊張はします」と言っていました。これは決してネガティブな意味ではなく、「評価や実績を得た現在も緊張感を保って仕事ができる」というポジティブな意味があるのでしょう。スタート地点が低く、雌伏の時を過ごしていたことが、「現在もいい意味で緊張できる」といういい状態を保つことにつながっているのです。

大森さんに緊張したときの対処法を尋ねると、「もう当然のこととして諦めています」と笑いながら答えてくれました。やはり緊張を悪いことではなく、いいこととみなして、むしろ楽しんでいるのではないでしょうか。

モチベーションを保ち続けられる理由

次に注目したいのは、モチベーションの維持。大森さんは落ち着いたたたずまいもあって、モチベーションについて聞かれることが少なくないようでした。要は話を聞くメディア側が、「評価やスキルを得るほどモチベーションが下がりやすいはずなのに、なぜ高い質をキープできるのか」を知りたくなるのでしょう。

これまでインタビューなどで語り、私自身も目の前で聞いたことのあるモチベーション維持の秘訣は、“先輩と後輩に対するフラットな目線”でした。現在、大森さんは48歳で、俳優の中では真ん中の世代。それなりに経験や実績を積んできた実感はあっても、50~70代でバリバリに活躍している先輩が多く、逆に10~30代の後輩も目を見張る演技を見せている。

そうした上下の世代から目をそらさず、なかでも際立っている先輩に憧れたり、後輩に嫉妬したり、自分を奮い立たせたり、戒めたりすることにつなげているのでしょう。これは簡単にできそうで実は難しいことで、大半の人々が「あの人は運がいいだけ」「時代が違うから」「比べても意味がない」などと理由をつけて目をそらしがちです。

「同じ仕事をしている先輩や後輩と向き合わない」という後ろ向きな姿勢では、前向きなモチベーションが失われていくのは当然。その点、大森さんは俳優業が軌道に乗る前から同年代だけでなく、先輩や後輩とコミュニケーションを取り、お酒を飲みに行っていたそうです。実は私も大森さんが俳優仲間と飲んでいる姿を見たことがありますが、作品や演技の話を楽しげに語り合い、時に熱い言葉も聞こえてきました。

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