大森南朋のナギサさんが支持される納得の理由 熱演の陰にある等身大のサクセスストーリー

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大森南朋さん(左)は「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)で、主演の多部未華子さん(右)と同等以上に重要な役を見事に演じています(東洋経済オンライン編集部撮影)

大ヒットしている「半沢直樹」(TBS系)の陰に隠れがちですが、「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)の人気も右肩上がり。放送されるたびにネット上は盛り上がり、世帯視聴率も第7話が自己最高の16.6%を記録しました。同作が放送されている「火曜ドラマ」は1桁視聴率に終わることも多いだけに、この段階で大成功と言っても過言ではありません。

同作を大成功に導いた立役者は主演の多部未華子さんだけではありません。ドラマタイトルにもなっているほか、第7話では涙を流すシーンで感動を誘った鴫野ナギサを演じる大森南朋さんの存在なくして、これほどのヒット作にはならなかったでしょう。

大森南朋さんと言えば、ドラマに加えて映画化もされた「ハゲタカ」(NHK)の冷徹なファンドマネージャー・鷲津政彦のイメージがある人も多いのではないでしょうか。実際の大森さんも、俳優としての演技力はもちろん、実は鷲津に勝るとも劣らない優秀なビジネスパーソンでもあるのです。

これまで200近い出演作の多くを視聴したほか、十数回にわたる過去の取材歴を踏まえて、大森さんのすごさと学ぶべきところを挙げていきます。

演技が「静かなのに雄弁」に見える理由

大森さんはナギサのような優男から、映画『アウトレイジ 最終章』で演じた市川のような武闘派まで、さまざまな役柄を演じ分け、しかも「その人物が本当に存在している」というリアリティーを感じさせる俳優です。

特筆すべきは、落ち着きや静けさを感じさせるたたずまい。例えば、どんなに悪い男の役でも、明るい男の役でも、視聴者が「こんな感じかな」と思うイメージよりも落ち着きや静けさを感じさせ、それでいて説得力があるのです。

以前インタビューしたときに大森さんは、「いつも演じる役の気持ちになろうと考えています」と言っていました。誰かから何かを言われたときに「どう感じたのか」、それとも「何も感じなかったのか」。街中を歩いているときに「何かを企んでいるのか」、それとも「ボーっとしているだけなのか」。

そのシチュエーションにいることを考え、演じる人の気持ちになろうとしているのです。だから、ナギサの役作りを見ても、わかりやすいセリフに頼ることなく、静かなたたずまいをベースにした演技をしているのではないでしょうか。

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