ブランド流、最強バイヤーのつくり方 なぜ、バイヤーにコミュニケーション能力が必要なのか?

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あるブランドで買物をしようとして、A店で見たものをB店で買おうとしたら、売っていなかったという経験、皆さんはありませんか?単純に売り切れている場合もありますが、それ以前に、前出のとおり、バイイングというのは、基本的にお店単位で変わります。売れ筋商品やブランドの打ち出し商品などは、全店でそろえることもありますが、それ以外は客層に合わせて細かく変えていきます。

たとえば、同じブランドのお店でも、渋谷と丸の内のショップでは、客層が異なります。そうすると、バイヤーはその客層に合わせ、渋谷では普段着る服やおしゃれ度の高い服を、丸の内では仕事で着る服やコンサバな服を、などと取り扱う商品を変えます。

 またよく行うのが、◯◯店限定、などの限定アイテムを仕込むことです。これらは、買い付けるときに販売店舗をしぼり、たとえば国内ではA店でしか売られないようにオーダーを調整します。

ここで先ほどの質問に戻り、海外と国内の商品の品ぞろえが違う大きな原因を説明します。そもそも海外のマーケットと日本のマーケットでは、お客さんの嗜好が異なります。バイヤーは、あくまでも売ることを前提に商品をセレクトしますから、日本のマーケットで売れるものと、海外のマーケットで売れるものが異なる以上、取り扱う商品も異なります。

しかも、実際のバイイングでは、現物サンプルだけでなく、生地見本や色見本を見ながら非常に細かくセレクションを行うことができます。勿論、ブランドの規模にもよりますが、過去の経験では、これでもかというくらい選択肢がありました。それほどのバリエーションの中から選びますから、同じブランドの服でも、生地や色を変えれば、全く違う雰囲気になるのです。

そして、顕著な違いを挙げると、海外は、原色などの派手な色や柄にも抵抗が少なく、日本は、無難な色やコンサバなものを好む傾向があります。加えて、バイヤーの持っている感覚や感性も違うので、それらが商品のラインナップに表れるのです。

 さて、バイイングについて話し終える前に、評価の方法についてもふれておきます。テレビに視聴率があり、ウェブサイトにPVがあるように、バイイングにも評価の指標となるものがあります。それを消化率(sell-through)と呼びます。このパーセンテージは、売れた数÷仕入れた数というシンプルな公式ではじき出されます。たとえば、20個仕入れたうち5個が売れれば、消化率は25%です。これを限りなく100%(完売)に近づけるために、MDをはじめ関係者はあらゆる努力を行います。

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