人口減少の日本には「所得倍増計画」が不可欠だ 単発の政策ではなく「パッケージ」で対応せよ

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労働生産性を高めるには企業の平均規模の拡大が必須条件となるので、労働者の減少以上に企業数を減らす必要があります。企業の平均規模が拡大すれば、スケールメリットを得ることも可能になります。また、企業の規模が大きくなるほど、投資能力も輸出能力も増えます。つまり投資を増やしたり、輸出を促進するのにも、企業の規模拡大が必要となるのです。

「最先端技術の普及によって、人が減ってもなんとかなる」と主張する人もいます。しかし、ほとんどの小規模事業者は最先端技術を活用できる最低ラインの規模になっていませんので、その理屈は机上の空論です。

どんなシナリオでも、人口が減る以上、企業数は絶対に減ります。政府はどういった企業を残し、どういった企業を減らすのかを真剣に考える必要があります。

これを完全に市場に任せるのは、極めて危険です。そもそも今の脆弱な産業構造自体が、国の経済政策に対応してできたものでもあります。

政府が小規模事業者を優遇し続けていけば、中堅企業と大企業が犠牲になります。国は基礎から崩壊するでしょう。逆に、中堅企業を徹底的に優遇して、小規模事業者の優遇を減らせば、労働力は小規模事業者から中堅企業に移動します。日本が目指すべきは、この方向です。

雇用を減らさずに労働生産性を高めよ

日本は「低い失業率・低い労働生産性」の国です。私が労働生産性を高めようと主張すると、「そんなことをしたら失業率が高まる」という反論を受けますが、低い失業率と高い労働生産性は両立可能です。

経済はゼロサムゲームではありません。日本では、このことに関しても理解が足りないと常に感じます。

先ほども説明したように、現在の日本の労働参加率は史上最高で、これ以上引き上げるのは限界に近づいています。

国全体の生産性は「労働生産性×労働参加率」という式で表すことができます。労働参加率が限界に近くなっているのであれば、さらに生産性を高めるためには、労働生産性を高める必要があるのは自明です。

少し前まで、世の中では景気が良くなっているのに、その実感がわかないとよく言われていましたが、その理由は明白です。労働参加率を高めると生産性は上がりますが、給料は労働生産性と連動しているので、労働生産性が上がらないと給料は上がりません。こちらがそれほど上がっていないのです。

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