人口減少の日本には「所得倍増計画」が不可欠だ 単発の政策ではなく「パッケージ」で対応せよ
追求すればするほど、日本経済の最大の問題点が「ダイナミズムの欠如」であることが明らかになります。ここでいうダイナミズムとは、「安定的な雇用の下、効率よく新しい企業が生まれ成長する。成長しない企業の数はできるだけ抑えて、可能な限り多くの企業が中堅企業に成長する」ことを意味します。企業の淘汰だけを意味するわけではありません。
技術の進歩によって、世界的に大企業の平均規模が小さくなる一方、中小企業の平均的な規模が拡大しています。企業の規模が「中堅企業レベル」に収斂しているのです。
強い経済の鍵は「企業の淘汰」より「企業の成長」
正しい分析を進めると、アメリカ経済の労働生産性の高さの秘密は、企業のダイナミズムにあることが明らかになってきます。
データを見ると、アメリカは欧州より「成長する企業」が圧倒的に多いという特徴があることがわかります。アメリカでは小さい企業が多数生まれる一方、多数が市場に残れず退場するとよく言われます。
しかし、それよりも、中堅企業に成長する企業が欧州より圧倒的に多いことがポイントです。成長しない企業が非常に少ないのです。何でも反対する人は、アメリカの企業社会は弱肉強食で、多くの企業が容赦なく淘汰されていくと言いますが、それは結論ありきの誤った解釈です。
日本の問題は、「淘汰されるべき企業が淘汰されない」ことではありません。生まれてくる企業が「成長しない」ことこそが大問題です。データを見ると、2012から2016年の間、小規模事業者から中堅企業に成長したのは、たったの7.2万社でした。
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