人口減少の日本には「所得倍増計画」が不可欠だ 単発の政策ではなく「パッケージ」で対応せよ
では、小規模事業者を優先的に守る代わりに、大企業と中堅企業を守ることにしたら、どうなるでしょうか。
2807万人のうち、まずは大企業に現状どおりの1459万人を配分すると、残りは1348万人になります。中堅企業33万社分にしかならないので、残り20万社の中堅企業と304.8万社の小規模事業者すべて、合計324.8万社が廃業を余儀なくされるのです。
もちろん、これは極端な仮定をおいた話ですから、現実はこれらの中間のどこかに落ち着くはずです。問題は、「方向性として」どれを目指すかです。
生産年齢人口が減る以上、①全体の規模を小さくして生産性を下げる、②小規模事業者を守って中堅企業を潰す、③規模の大きな企業から守って小規模事業者を減らすの3つしか選択肢はありません。①と②では、経済は確実にボロボロになります。とるべき方向性は、③しか残らないのです。
企業数が減っても雇用は減らない
企業数が減ることに対しては懸念の声を上げる人が少なくありませんが、企業の数が減るのは別に今に始まった現象ではありません。過去のピーク時から比べると、企業の数はすでに大きく減っていますが、就業者数は逆に増えています。
企業の数と雇用には、日本で信じられているほど強い相関関係も因果関係もないのです。企業数の減少傾向が今後も続くだけなので、大騒ぎする問題ではありません。
企業数と雇用数の増減が必ずしも一致しないことは、日本ではあまり理解されていません。小規模事業者の数を減らしても、労働者を大企業と中堅企業に移動させれば、企業数が減っても雇用は変わりません。これによって産業構造はより強固になります。
例えば、3000人の労働者が、社員数3人の1000社で働いているケースを想像してください。1000社のうち半数がなくなったかわりに、3社が社員数500人の中堅企業に成長したとすると、企業の数は半減しますが、雇用は減りません。「企業数の減少=雇用数の減少」というほど単純な話ではないのです。
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