大学入試「倫理」は受験生に何を求めているのか 2021年から試される「思考力」の正体
新テストで問われる“思考力”とは?
新しく行われる「大学入学共通テスト」は、英語においては民間試験の導入が検討され、国語や数学Ⅰ・Aでは記述式問題を導入予定だったものの、結局どちらも見送られることになるなど、その方向性は二転三転しています。私の専門科目である「倫理」も例外ではなく、大きな混乱が見られるようです。
ともあれ、「倫理」においては、大学入試センターがこれまで2回行った試行調査(プレテスト)の路線に即した新テストで2021年度の「大学入学共通テスト」が行われることはおおむね間違いないと思われます。ですから、この試行調査の出題傾向を分析し、把握することが、「大学入学共通テスト」(新テスト)の傾向をつかむいちばんの近道となりそうです。
この「大学入学共通テスト」は、文科省によって「思考力・判断力・表現力を評価する」という目標のもとに新たに導入されました。ですが、とくに“思考力”などという言葉はあまりにも抽象的で意味合いが広く、「いったい、どのように変わるのか?」「これから、思考力を養う特別な勉強をしなければいけないのか?」と不安を抱えている受験生や保護者の方もいらっしゃるかと思います。
そこで、この新しいテストがいったいどのようなものなのか、私の専門科目である「倫理」を例に挙げ、具体的に解説していきましょう。
まず、ページ数ですが、センター試験(2020年度本試験)では「倫理」科目は34ページ、解答個数は37問であったのに比べ、試行調査では38ページ、36問となっています。つまり、ページ数が増えつつ、問題数は減っている。それだけ、解答にあたって「読むべきもの」の量が多くなっていることになります。
試行調査では、会話文が多く採り入れられていたり、絵や統計データなどの資料が多く掲げられており、これが、ページ数増加の大きな要因となっているのです。これは、どの科目にも共通する傾向のようです。
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