大学入試「倫理」は受験生に何を求めているのか

2021年から試される「思考力」の正体

ともあれ、知識がなくてもこのように論理的に考えていけば答えを導き出せる問題は、この問いを含めて7題(全体の約2割)出題されており、これを「思考力を見る」問題と定義していると思われます。

例に出した絵画の問題は少し特殊ですが、その他の新傾向問題は倫理の知識に即して作られており、知識がなくても解けますが、知識があれば、よりスピーディーに、確信を持って解くことができるでしょう。

新テストが怖くないという3つの理由

そもそも「倫理」では、これまでも論理的に考える力を問う問題が多く出題されていましたから、それを大きく変えなければいけないとなると、作問する側にとっても苦労するところだろうと思います。例えば、実は、今までのセンター試験では「用語を問う問題」は珍しかったのですが、施行調査においては、単語の組み合わせや単語を穴埋めする問題がむしろ増えているという逆転現象もみられます。

つまり、しっかりと倫理の基礎知識を学んできた生徒がより有利になる点も増えているということです。

まとめると、次のようになります。

・資料や会話文をテキパキと読み解く際の“判断力”や“情報処理力”は、豊富な知識がベースとなる
・見た目は違えど、従来と同じく、科目の知識・技能や、それらをもとにした思考力・判断力を問う問題がほとんどである
・知識がなくても解ける問題もあるが、知識があればより迅速に自信を持って答えることができる

このことから言えるのは、これまでの勉強法を変える必要はないということです。

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論文などとは違い、テストである以上、「思考力」を問う問題も解答が1つに絞れるものとなりますから、「自分なりに考えて、それを表現する」ような思考力を養うための特別な勉強も必要ないといえるでしょう。

知識のインプットは今までと変わらず行い、新傾向の問題には問題演習を通じて慣れておく、それを着実に行うことが新テストの攻略法です。これで、「新テストを必要以上に恐れる必要はない」という意味がおわかりいただけたでしょうか。

今までどおり、コツコツと勉強を続けてきた人に、勝利の女神はほほ笑みます。新しい「大学入学共通テスト」を恐れることなく、自分を信じて頑張りましょう!

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