離婚を決めたとき夫を憎む妻が陥りがちな誤解 元夫と「協力し合う」新しい子育てのコツとは

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では、この固定観念はどこからくるのかというと、日本は離婚した後は「単独親権」という両親のどちらか片方だけが親権を持つ制度があり、これが要因だといえるでしょう。離婚しても親権を持たなくても「子どもの親」であることはなんら変わらないのですが、親権を持っていないと、親ではないというミスリードをされてしまいがちなのです。

よくあるのがある日突然、母親が子どもを連れて家を出るというケース。子どもに伝えると子どもが夫にバラしてしまう可能性があるからと、子どもに何も伝えないまま、突如家を出るのです。子どもは本当に同意しているのでしょうか。

もちろん、暴力などですぐに離れたほうがよいケースもありますが、性格の不一致など夫婦間の問題である場合、子どもは空気を読み母親の意志に従う、ないしは状況がわからないままついていくということもあるでしょう。

「子どもは私の味方だし子どもの気持ちは私が一番わかっている」「私がこんなに夫のことを嫌いなのだから子どもも嫌いになっているはず」と、自分の感情と子どもの気持ちを同一視してしまい、子どもを所有物化しがちですが、子どもと母親は別人格。そして、夫婦関係と親子関係も別物なんですよね。親だからといって決して子どもを思い通りにできる立場ではないのですが、子どもを父親に会わせるか会わせないかも含め、自分の感情で決めてしまいがちです。

親に忖度!空気を読む子どもたち

離婚となると、つい自分の感情を優先してしまいがちですが、お子さんがいるご家庭での離婚は、なによりもまず子どもの気持ちを理解しておくことが大切です。離婚家庭が増えているとはいえ、仲の良い両親のもとで暮らすことを望む子どもの心情は今も昔も同じ。子どもにとっては親の離婚は人生の大事件と言っても過言ではありません。

子どもは驚くほどに親の顔色を見て空気を読みます。個人差はあるものの、未就学児でも親の異変に気付き、それぞれの親の味方になろうとパパのことが好き、ママのことが好きと言って笑顔で振る舞ったりすることも。

また、別居後母親と暮らすようになった際には、母親から嫌われたら生きていけなくなるわけですから、生存本能で母親のご機嫌をとることを覚え、母親を怒らせないよう、機嫌が悪くさせないよう、悲しませないように、言葉を選び振る舞います。まさに忖度です。

離婚は親の都合です。親の勝手により子どもを傷つけることは間違いありません。その時点ですでに子どもに対しては親は「ごめんなさい」なのです。だからといって子どものために夫婦仲が劣悪なまま離婚せずに子どもが成人するまで結婚生活を送ることに限界を感じる方もいるでしょう。であれば、愛する子どもが離婚によるダメージを最小限にとどめてあげることが最低限の親の責務になってきます。

次ページ面会交流の現場で見える、子どものいじらしい姿に学ぶ
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