離婚を決めたとき夫を憎む妻が陥りがちな誤解 元夫と「協力し合う」新しい子育てのコツとは

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「頭ではわかるし、口で言うのは簡単だけど、いったい嫌いな相手とどうやって共同養育をするの?」と疑問がフツフツと湧いてきている人もいるかもしれません。「離婚した後も顔を合わせるなんて無理!」「LINEでやり取りなんて絶対いや!」と思われている方も多いかもしれません。

みなさん、安心してください。なにも一緒に行動したり密にやり取りをしたりすることが必須なわけではありません。「できない!」と決めてしまう前に共同養育のハードルを下げて、「できることからやってみよう」と肩の力を抜いて始めてみることをオススメします。

たとえば、離婚直後でお互い直にやり取りすることが困難な場合は第三者を仲介に入れるところからスタートしたってかまいません。また、アプリなどを活用して写真を共有したり、面会交流の日程を決めたりすることも可能です。学校行事なども「顔を合わせるくらいなら来させない」ではなく、顔を合わせずに済むよう時間をずらす工夫をすればよいのです。

もちろん会う頻度や時間が多いに越したことはありませんが、何回以上、何時間以上といった数値で表せるものよりも、共同養育するうえで親の心得として大事なことがあります。それは「子どもが両親の顔色を見ずに素直にきもちを発言でき、自由に行き来できる環境を両親が整えること」です。

離婚してもパパとママの話題をタブーにしない

たとえ高い頻度で会っていたとしても、子どもが行き来する際に両親が険しい顔をして一言も口を聞かなかったり、自宅で相手のことを詮索したり子どもに悪口を言ったりするのでは、子どもが気を使う場面が増えてしまいます。

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一方で、たとえ頻度は少なかったとしても、家でパパママの話がタブーにならず行き来するたびに快く送り出してあげられるほうが、子どもにとっては両親から愛されていることを実感することができますよね。

もちろん、離婚しないに越したことはありません。離婚家庭が増えているとはいえ、子どもにとって唯一無二のパパとママと一緒に仲良く暮らしていたい思いは今も昔も変わらないでしょう。

ただ、どうしても結婚生活を継続させることが難しい場合は、共同養育という方法があることを知ったうえで、夫婦関係から親同士の関係へのシフトできるとよいですね。離婚した後も子どもと父親の関係はこの先ずっと続きます。ぜひとも、子どものこと、そして離婚後の未来を見据えながら選択を。

しばはし 聡子 一般社団法人りむすび代表/共同養育コンサルタント

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しばはし さとこ

應義塾大学法学部卒。電力業界で広報・秘書に従事。退職後、自身の子連れ離婚経験から共同養育サポート「一般社団法人りむすび」を設立。離婚相談・面会交流支援・コミュニティ運営および講演・執筆活動中。著書『離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ』(マガジンランド)をはじめ、共同養育普及に向けメディアでも活躍。りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/

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