二重のプレッシャーを受け、身代金を支払うと苦渋の決断を下した医療機関もある。6月1日に身代金要求型ウイルスに感染したアメリカ西海岸カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部は、約3週間後の6月26日、約114万ドル(約1億2197万円)の身代金を払うことにしたとウェブサイトで公表した。
感染したのは、「ネットウォーカー」という名の「二重の脅迫型身代金要求型ウイルス」である。
BBCによると、攻撃者は当初300万ドル(約3億2098万円)を要求した。それに対し、同医学部は新型コロナウイルスによる影響で経済的に苦境に立たされていると説明し、78万ドル(約8346万円)を提示したが、攻撃者は元が取れないとして拒絶。何度か交渉を繰り返し、約114万ドルになった。
大学医学部が攻撃者に身代金を支払う
同医学部は、全米でも有数の新型コロナウイルスの抗体検査機関である。暗号化された情報の詳細は不明だが、「公共に尽くす大学としての使命にとって重要なもの」だったという。
身代金の支払いと引き換えに、攻撃者は暗号を解くカギを大学に送り、盗んだ情報は削除すると約束した。ただし、すべての情報を復旧できたかどうかは現時点では報じられていない。
一方で、エムシソフトのサイバーセキュリティの専門家は、盗んだ情報を後で金に換えられるとわかっているのに、本当に削除するかどうかは疑問だとも指摘している。
アメリカ以外の国でも、医療機関への身代金要求型ウイルスによる攻撃が複数報じられている。3月には、スペインの複数の病院に対し、「ネットウォーカー」によるサイバー攻撃があった。新型コロナウイルスに関する情報を盛り込んだとする添付のPDFファイルを開いてしまうと、身代金要求型ウイルスに感染する。
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