ナンバー2暗殺されたイランの「報復」とは何か

アメリカとの全面戦争はありえる?

イランのナンバー2、ソレイマニ氏の殺害にイランでは反米感情が高まっている(写真:WANA/Nazanin Tabatabaee via REUTERS)

2020年の中東は、波乱に満ちた展開になりそうだ。アメリカ軍が1月3日、イラン革命防衛隊コッズ部隊のガセム・ソレイマニ司令官を、イラクの首都バグダットの空港へのドローンによる空爆で殺害した。

ソレイマニ司令官は、イランで最高指導者ハメネイ師に次ぐナンバー2の実力者。イラン国内では英雄的な扱いを受け、大統領候補にも名前が挙がるほどだった。ハメネイ師は「手を血で汚した犯罪者を待っているのは厳しい報復だ」とツイッターに投稿、すでに軍事的緊張が激化していたアメリカとイランの対決ムードは一段と高まった。

「革命防衛隊」「コッズ部隊」の存在

アメリカが2018年にイラン核合意から離脱した後、両国間の緊張が高まり、2019年には、ホルムズ海峡周辺でタンカーに対する正体不明の攻撃が相次いだほか、アメリカ軍無人偵察機をイランが撃墜。9月にはサウジアラビアの石油関連施設が攻撃を受け、サウジの原油生産能力の半分が一時的に停止した。

こうした緊張の高まりの中でも、アメリカはイランへの直接的な攻撃を自制。それだけに、トランプ大統領が年始早々のタイミングでソレイマニ司令官の殺害を命じたことに衝撃が広がった。

ソレイマニ司令官が属していた革命防衛隊やコッズ部隊とは、どんな存在なのか。

通常の国家においては国軍が強力な軍事力を持つが、イランでは革命防衛隊が軍事力とともに、経済や政治の権益を持つ。国軍が軍事力をクーデターに使いかねないとの警戒感が背景にあり、革命防衛隊は、1979年のイスラム革命体制の護持を最大の目的とし、ハメネイ師に忠誠を誓う。その中でもアラビア語で「エルサレム」を意味するコッズ部隊は、エルサレムの奪還を最終的に狙うという宗教的な意味も込められている。

ソレイマニ司令官は、農家の家庭に育ち、革命後に誕生した革命防衛隊に参画。1980〜88年のイラン・イラク戦争に参加し、経験を積んだ。その後、麻薬密輸阻止の任務などで功績を上げて1998年にコッズ部隊のトップに就任。2003年のイラク戦争により、イスラム教スンニ派のサダム・フセイン政権がアメリカ軍によって打倒され、シーア派の影響圏が中東各地に広がるというタイミングにも恵まれた。

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