新型コロナウイルスと戦っている医療研究機関への治療法などに関する情報を盗むためのスパイ目的と見られるサイバー攻撃も、多数発生している。
新型コロナウイルスの検査キットを手がけ、数十カ国に輸出している韓国の大手生産メーカーが、外国からサイバー攻撃を受けていたことが3月末に判明した。検査キットに関する最新技術の窃取を狙ったものと思われる。幸い、サイバー攻撃の被害を未然に防止するサイバーセキュリティ対策を取っていたため、被害は特段出ていないという。
FBIの高官は、新型コロナウイルス関連の研究を公表した組織は、その成果を狙ったサイバー攻撃者に目をつけられていると4月に指摘している。具体名は出さなかったものの、新型コロナウイルスの治療法を研究している企業や機関へのスパイ目的のサイバー攻撃をFBIは目撃していると発言した。
中国人ハッカーが研究データを狙う
さらにアメリカ司法省は、7月21日、30代の中国人ハッカー2人を新型コロナウイルス関連の研究データなどをサイバー攻撃で盗んだ容疑で起訴したと発表した。このハッカーは、これまでに10年以上にわたって、アメリカだけでなく、日本やイギリス、ドイツ、韓国など世界中の国から様々な知的財産に関する情報を盗もうとしていたとみられる。
司法省によると、2人は中国の情報機関の「国家安全部」と契約し、サイバー攻撃に必要な情報を受け取っていたという。中国政府は関与を否定している。
起訴状によると、ハッカーの1人は、ワクチン開発中の東海岸メリーランド州とマサチューセッツ州バイオテック企業に対し、1月下旬、立て続けに偵察活動を仕掛けていた。企業名は伏せられている。
7月30日、ロイターは、マサチューセッツ州にあるバイオテック企業「モデルナ」の情報が中国のハッカーたちに今年狙われていたとスクープした。同社は、7月末現在、アメリカ国立衛生研究所とコロナワクチン臨床試験の最終段階に入っている。ただし、アメリカ当局は被害組織の名前の公表を拒否しており、同社へのサイバー攻撃による被害についても不明である。
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