「職場内クラスター」発生を防ぐ合理的方策 専門家委員会のメンバーによる警鐘と提言

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PCR検査をしてウイルス量を見れば、たくさんウイルスを持っている人とそうでない人がわかります。そこで入院すべきかどうかを線引きすることも検討されています。しかし、無症状ですから、これからウイルス量が増えて発症するのか、それともすでに発症して治りつつあるのかわかりません。ですので、やはり今は入院ということになっています。

こうしたことからも、検査はあくまで個人の自由意志によって行われるものであり、結果自体も(企業がお金を出した検査だとしても)、あくまで個人のものであることに注意が必要です。同意なく企業が結果を取得した場合には、個人情報保護の観点から問題になりえますので注意が必要です。

「出社の可否」は症状の有無で判断を

検査で陰性だったとしても、採取した検体にウイルスが付着していなかったという以上の証明にはならず、持続的な陰性証明にはなりません。精度の低さもあり、流行していない時期に検査をすれば、間違った結果が出る可能性も高くなります。私は、検査結果で出社の可否を判断するよりも、症状の有無を確認して、症状がある場合は休む。地域の流行があるときには、感染対策を徹底するということのほうが合理的ではないかと考えます。

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すでに感染したかどうかを確認する「抗体検査」も企業活動に取り入れる動きがあります。しかし、こちらも精度に課題がありますし、抗体が確認されたからといって、その後再び感染しないということは確かめられていません。今の段階では、特段の意義を見出せませんので、私としてはおすすめしていません。

最後に、ウイルスをしっかり除去する、衛生的手洗い手順を用意したので、ご活用いただければと思います。

コロナ対策の専門家が推奨する、ウイルスをしっかり除去する、衛生的手洗い手順。出版社サイトよりファイルをダウンロード可能です

なお、この原稿は2020年7月16日にまとめました。

和田 耕治 国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授・医学系大学院教授

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わだ こうじ / Koji Wada

北九州市八幡生まれ。
2000年、産業医科大学医学部卒業。臨床研修医、企業での専属産業医を経て、 マギル大学大学院産業保健学修士課程修了。ポストドクトラルフェローの後、北里大学大学院労働衛生学博士課程修了。
北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教、准教授、WHOとILOのコンサルタント、厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議委員を経験。
国立国際医療研究センター国際医療協力局医師として活動の後、2018年から現職。
専門は公衆衛生、健康危機管理、感染症、国際保健。

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