大学入試、小論文が苦手な人に伝えたい「3視点」 キラリと光る魅力的な文章を書くには
この3つの中で最も重要なのは、読解法②です。課題文(他人)の考えを、自分なりに自分の体験に当てはめて考察するという作業です。簡単に言えば「他人を理解すること」。「他者理解」とも言います。極端な話ですが、僕は予備校で1年間、読解法②ができるように教えていると言っても過言ではありません。
もちろん、この読解法②だけでは合格できる小論文は書けませんので、3つの読み方をバランスよく身に付けることが必要です。以下、この3つの読み方について解説します。
課題文を読んで筆者の考えを理解する
まず、読解法①です。みなさんは、小学校の国語の時間に、形式段落と意味段落にわける作業をした記憶があるでしょうか? 念のために確認しておきますが、形式段落とは、文章の最初が1文字空けられているまとまりです。また、意味段落とは、内容的につながりのある、形式段落のまとまりのことですね。
この意味段落の流れをつかむのが、読解法①です。つまり、文章のある部分と、その次の部分が、どんな関係であるのかを把握していき、その文章が言いたいことを理解する、という作業です。
例えば、前後の文章が、反対になっているのか、同じことのくり返しなのか、原因と結果なのか、対比になっているのか、というような関係を読み取ることですね。
それは、言い換えれば、筆者の考えを理解する、ということです。そのため、できるだけ筆者の文言を使って、筆者の文章の筋道をまるごと理解する必要があります。
この読解法①は、小論文では、要約問題・説明問題として問われます。現代文でも要約問題がありますが、それは文章をひと言でまとめるタイプの問題です。それに対し小論文では、文章全体の筋道の理解が求められるのです(最近では、現代文の要約問題の傾向は、小論文寄りに変わってきています)。
読解法②:自分の体験に当てはめる読み方
読解法①で読み取った課題文の内容を踏まえて、その内容と自分の体験をあてはめて読む読み方です。くり返しになりますが、この読解法②が、小論文において最も重要な読み方です。
例えば、課題文が「若者のコミュニケーション」だったとしたら、自分が普段使っているLINEの会話について思い出し、課題文の設問に答える、といった具合です。読解法①が、課題文、筆者の考えを理解する読み方なのに対し、読解法②は、筆者の考えを、みなさんが飲み込み、消化して、自分なりの考えに引きつける作業です。
この「自分の体験」は、誰かから聞いたり、何かを読んだりして得られた「第三者の体験」より、自分が現場で見聞きした直接体験が望ましいです。なんといっても説得力が違います(もちろん、「脳死臓器移植」など、直接体験と重ねるのが難しいテーマの場合は、伝聞、仮定など、間接体験を重ねて考えます)。
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