大学入試、小論文が苦手な人に伝えたい「3視点」 キラリと光る魅力的な文章を書くには

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そして、このような自分の体験を「具体例」と呼びます。この具体例を通して考えることこそ、小論文で最も重要な作業なのです。つまり、読解法①から読解法②に進むための読解力が、小論文を解くうえでの最大のポイントとなるわけですね。逆に言えば、この作業ができない人は合格から大きく遠ざかるのです。

自分の見解を見いだすのは現実には難しい

読解法③:自分の見解を見いだすための読み方

読解法③は、読解法②までで深めた自分なりの理解を、さらに、筆者とは異なる視点を見つけたり、筆者の見解を乗り越えたりする、高いレベルの課題文の読み方です。

課題文を読むことで、誰も言っていない、自分独自の意見を言うことができる、とても有意義な読解の仕方です。小論文の問題で、「あなたの考え」を要求されたとき、本来、こうした読解ができることが、最終ゴールとして求められているのだと思います。

ただし、現実の大学入試でこの読解レベルに至ることは、まずありえません。入試の解答時間は、たった60分から90分です。課題文の筆者は、何年も、時には何十年もかけて研究を続けてきた成果を、その文章にまとめています。受験生が、それを超えるような独自の読解を短時間で行うことはムリ、ということです(もちろん100%ムリ、というわけではありませんよ)。

この読解法③で読めるのが最も理想的です。ですが、現実には難しいので、結果として、読解法②が最も重要になってくるわけです。

では、この3つの読解法を使って、次の<例題>の課題文を読んでみましょう。

実際の問題に挑戦してみましょう

<例題>
次の文章を読んで、後の問に答えなさい。
(省略)
あなたは、日銀が何をしているところかご存じですか?

中学校や高校で一生懸命勉強して、それ相応の知識を持っている人は得意満面にこう答えるかもしれません。

「日本銀行とは日本の中央銀行で、銀行券の発行ができ、市中銀行および政府に対する貸し出しや国庫金の収支業務を行う銀行です。また、金利の操作や公債の受け渡し・回収を通して通貨の増減を図っています。いわば発券銀行であり、銀行の銀行であり、政府の銀行でもあります」
と。

なかなか立派な解答だと思います。経済学の教科書にもこのように書いてありますから、模範解答として満点をもらえそうです。

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