コロナ恐慌で打撃「受ける人と受けない人」の境 コロナ以前の格差がさらに広がることになる
世界経済がパンデミックによる雇用喪失から回復するには何年もかかるだろう。そしてヨーロッパでは、景気後退はわずか2カ月前の予測よりもはるかに深刻なものになるとみられる。
7月7日に公表された経済協力開発機構(OECD)ならびに欧州委員会による2つの報告書はそう結論づけた。新型コロナウィルスが経済にいかに広く、深く影響を及ぼすことになるかについての最新の見通しだ。
雇用喪失はリーマンショックの10倍
OECDは雇用に注目し、欧州委員会は経済の収縮度合いを見積もった。専門家たちは今後の感染状況は予測不能なため、見通しがなお流動的であることを認めている。しかしOECDと欧州委員会がたどり着いた結論はいずれも厳しい。
OECDのエコノミストによれば、雇用の減少は2008年世界金融危機の最初の数カ月で記録した人数の10倍に上っており、欧米をはじめとする先進国の雇用がパンデミック前の水準に戻るのは早くても2022年以降になる公算が大きいという。
「労働市場は2008年の金融危機が終息してから回復を続けてきたが、コロナ禍はそれをほんの数カ月で帳消しにしてしまった」と、OECDのステファノ・スカルペッタ雇用・労働・社会政策局長は語る。
OECD加盟37カ国の失業率は今年末に9.7%へ拡大する見通し。2019年は5.3%だった。第2波によって各国が再び経済活動の一部停止を余儀なくされれば、今年末の失業率は12%を超える可能性もある。
ウイルスの影響は広範囲に及ぶが、経済的な被害は社会的な立ち位置で異なるため「雇用危機は社会的な危機につながる恐れがある」と報告書は指摘する。外出制限や休業は最も弱い立場にある労働者にとりわけ大きな打撃を与えた。こうした労働者は、新しい仕事を探すのも収入を回復させるのも困難な人たちだ。