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渋沢栄一が「論語と算盤」の両立を力説した意味 「論語か算盤」の選別ではなく創造に結びつく

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そのため、少なくとも「かの力」において、人間がAIに勝てる可能性はほとんどないわけだ。

ただし、AIにも弱点はある。AIの予測は過去のデータからの選別にすぎず、「すでにあるもの」のなかから選んでいるだけなので、「見えない未来を信じる力」をまったく持っていないのだ。

対して人間は、AIのように膨大なデータを覚えたり、必要なデータを瞬時に選別したりできず、疲れるし、忘れてしまう。だが、いきなり突拍子もない答えを出すことがある。必ずしもそれが答えとして正しいとは限らないが、その“突拍子のなさ”が的を射ていて、そこから一気に、見えなかった未来が見えてきたりすることもある。

すなわちそれが、「との力」を発揮できる人間ならではの特徴(=人間のイマジネーションの力)である。だからこそ、『論語と算盤』の根幹をなす「との力」を十分にはっきさせるべきで、それが私たちの飛躍にもつながっていくということだ。

おそらく栄一は100年近くも前に、そのことに気づいていたのかもしれません。『論語と算盤』の「処世と信条」には、次のような言葉があります。
論語と算盤という懸け離れたものを一致せしめることが今日の緊要の務めと自分は考えているのである。(65ページより)

渋澤健氏は資産を引き継いでいない

ところで渋沢栄一の玄孫であると聞くと、渋澤健氏はさぞ大金持ちで、なんの苦労もなく生活していると思われるかもしれない。

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事実、コモンズ投信という投資信託の運用会の経営、起業家の応援、社会起業家への寄付活動などを行っていることも“資産家の余技”であろうと思われがちだという。

だが実際には、資産はいっさい引き継いでいないのだそうだ。それどころか栄一は、約500社の会社の設立に関与しながらも、その子孫に財産をほとんど残さなかった。

そんなところからも栄一の潔さを感じ取ることができるし、たとえ資産を引き継いでいないとしても、消費者(読者)に向けられた暖かな精神性だけは渋澤健氏に引き継がれていることが、本書を読むとよくわかる。

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