渋沢栄一が新1万円札の「顔」になる重要な意味

キャッシュレス時代だからこそ考えてほしい

貴重な渋沢栄一(右)と徳川宗家16代当主の徳川家達とのツーショット。渋沢は江戸時代に生まれ、明治・大正・昭和初期まで生き、日本の未来を切り開いた(写真:近現代PL/アフロ)
新元号の次は、新紙幣――。5年後の2024年に新たな紙幣が登場する。新1万円札の渋沢栄一には、「ん?」という人も多いはずだ。
渋沢栄一は「日本資本主義の父」と言われ、500近い会社の設立に尽力。第一国立銀行(現:みずほフィナンシャルグループ)や東京株式取引所(現:日本取引所グループの東京証券取引所)、東京ガス、東京海上火災(現:東京海上日動火災保険)、帝国ホテル、開拓使麦酒醸造所(現:サッポロビール)など、今も歴史を積み上げている大企業も多い。まさに「偉大なベンチャーキャピタリスト」とも言えるが、その玄孫に当たるのがコモンズ投信の渋澤健会長だ。健氏に新紙幣が登場する時代的な意味などについて話を聞いた。

渋沢栄一が新1万円札の肖像になる「偶然と必然」

渋沢栄一は私の高祖父、つまり「ひいひいじいさん」にあたります。私から見て4代遡ることになりますから当然、私自身は本人を直接知っているわけではありません。でも、彼が残した言葉は当時だけでなく現代、あるいは未来にも通じるものであると信じています。

渋沢栄一の孫の孫に当たるコモンズ投信の渋澤健会長。自ら独立系の投信を設立、長期的な視点で個人投資家を支援する。同社は今年10年目を迎えた(撮影:今井康一)

新紙幣が流通する2024年は、恐らく今以上にキャッシュレス化が進んでいるでしょう。

新紙幣の話が決定してからは、「これからの時代に果たして紙幣は必要なのか」という意見も聞こえてきます。

確かに、お金の役割が、モノやサービスを購入するための交換手段だけであれば、キャッシュレスでも問題ありません。しかし、ある時代の人間の肖像をお札に載せるのは、そこに何かメッセージ(意味)があるからだと考えます。

では、渋沢栄一を新しい1万円札の肖像にすることに、どのようなメッセージ性があるのでしょうか。

彼は「日本資本主義の父」と言われるように経済人でした。過去、日本の紙幣で経済人が肖像に用いられたことは、私が記憶している限り、1人もいなかったと思います。

その生涯を通じて500社近い会社の立ち上げに関与しましたが、一大財閥をつくることはしませんでした。その時代に必要とされているモノ・サービスを社会に提供すべく、次から次へと起業していったのです。つまり、今で言うところの「シリアル・アントレプレナー」(連続起業家)です。

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