いったい全体、何が起こったのでしょうか。日銀が3カ月に1度、発表している「資金循環統計」で、家計部門が保有している投資信託の残高が急減したのです。その額、実に約33兆円!! ロイター通信の記事によれば、日銀広報課の回答は「統計の精度を高めた結果であり、ミスだったという認識はない」ということですが、これを草食投資隊の3人はどうとらえたのでしょうか。
投信業界関係者は日銀に「怒りまくっている」!?
藤野:正直、この報道は衝撃的でした。
中野:業界関係者は皆、怒りまくっていました。それはそうですよね。あ、読者の方に説明しますと、7月上旬に、日銀が資金循環統計を発表しました。この統計は、金融機関、法人、家計といった各経済主体が、どの程度の金融資産を持っているのかを調べたものです。
よく「個人金融資産は1800兆円」などと言われますが、これには、資金循環統計の数字が用いられています。こういった統計は、精度を高めるために時々、数字の見直しが行われているのですが、今回、それを行ったところ、何と家計部門で保有されている投資信託の残高が、一気に約33兆円も減ってしまったのです。結局、個人金融資産に占める投信の割合は、増えるどころか2014年の4.6%をピークに低下、2017年末は4.1%にまで減っていたということです。
藤野:30億円ならまだしも30兆円超ですからね。昨年12月末に、家計部門が保有する投資信託の残高は109兆1358億円もあったのですが、今回の改定で76兆4407億円に激減してしまった。改定前は、誰もが家計部門で保有されている投資信託の残高が徐々に増えていて、「貯蓄から資産形成へ」の流れが定着しつつあると信じていただけに、もう本当にがっかりです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら