"貯蓄から投資へ"の流れが「幻想」だった理由 衝撃!なぜ投信は突然33兆円も激減したのか

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中野:ロイターの記事によると、ゆうちょ銀行を含む中小金融機関が保有している、外国株式や外国債券で運用されている国内組成の投資信託の残高を、従来は「外国証券」という項目でカウントしていたのですが、それを今回、投資信託の残高に計上したことで、中小金融機関の投資信託残高が36兆6135億円増えました。

「貯蓄から投資」が進んでいると信じてきた証券業界に衝撃が広がっている(撮影:今井康一)

一方、家計が保有している投資信託の残高は、算出方法を見直した結果、32兆6951億円減りました、などと、もっともらしいことを言っているようですが、毎日新聞社の記事には、ゆうちょ銀行の保有資産で「外国債券」にカウントしていたものの一部が、実は「投資信託」だったことが判明したと書かれています。つまり、家計部門で保有していたはずの投資信託の残高の一部が、実はゆうちょ銀行保有分だったため、その額が家計部門の保有額から差し引かれ、今回の数字になったというわけですね。

ミスを認めない日銀

渋澤:微妙な違いですが、どっちの記事が正しいのでしょうか。

中野:少なくとも日銀は、ミスであることを認めていないようです。当然、投資信託業界は、日銀に対して説明を求めたわけですが、新聞報道にあるような明確な理由開示はなかったそうです。

藤野:認めたら、その担当者は閑職に飛ばされるでしょう。

渋澤:でも、家計部門の額が減ったとしても、郵貯保有分は増えたわけですから、全体的に見れば、どこかは収益を得ているわけですよね。

藤野:それはそのとおり。ただ、家計部門の資産形成への関心度合いは、ここ数年、一向に変わらなかったことが明らかになったわけで、それはやはり問題ありだと思います。

中野:投信業界も衰退産業かと業界内は嘆きの声が上がっていますが。

藤野:資産運用ビジネスは、これからの成長産業だと私は信じていますし、それを公言していますから、この結果を真剣に受け止めて、愚直に資産形成の大切さを説いて歩くしかないですね。

中野:それにしても、つみたてNISAやiDeCoなどで投資信託に対する関心度は高まっているはずなのに、残高が増えなかったのはなぜかという点を、きちんと分析する必要はありそうです。

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