すべて把握したい経営者と忖度する現場の末路 日本企業に「スピード経営」が根付かない理由
しかしながら、多くの企業ではこのような仕組みが必ずしも確立していないのが実情でしょう。かつてロッキード事件で機種選定をめぐり、若狭得治・元全日空社長の国会答弁が話題になったことがあります。機種選定は社長の権限でできるのかと問われたとき、このような証言を繰り返されていました。
「社長は代表権をもっているので外部的にはできなくはない。しかし、会社の命運を左右する大きな問題なので社内のさまざまな委員会で決定され、それが常務会に上がってきて、再び下に降りていく」
もしこの証言が真実であるとすれば、機種選定といった会社の命運を左右するような重大事項でさえ、いかにして決定されたのかが曖昧なままであり、知らず知らずのにうちに決まってしまったということになります。
これでは、秩序をもたらすマネジメントが機能しているとはいえません。この話を50年も前のことだと笑い飛ばすことができるでしょうか。
不確実性を効率的に削減していくOODAループ
混沌とした状況に秩序をもたらすのがマネジメントだとすれば、不確実性がさらに高まる昨今の経営環境では、OODAマネジメントが決定的に重要になります。OODAマネジメントとは、不確実性を想定内化するために、「観察」「情勢判断」「行動」といったOODAループの各要素を組織で回すことです。
A社、B社の事例からわかるように、OODAループを定着させるためには、「観察」「情勢判断」の仕組み化が重要な役割を果たすことになります。
何を観察すべきなのか、情勢判断を行う際にどのような基準を重視するべきなのか、といった点が、経営者から現場まで組織として仕組み化されていれば、OODAループは高速で回転し、結果として不確実性を効率的に削減することが可能になるのです。
さらに重要なことは、いかにOODAマネジメントを導入しても、失敗は不可避です。さらに言えば、われわれは失敗を通じて誤りを排除し、それによってのみ、進化し学習していくことができるのです。
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