すべて把握したい経営者と忖度する現場の末路 日本企業に「スピード経営」が根付かない理由
まず「観察」(Observe)については、従業員が外部環境を局所的にしか観察できていないということ、観察のフィードフォワードや、上司からのフィードバックがない点が挙げられています。
何を観察すべきかについて従業員に一任されており、その指導も行われていない一方、従業員側では観察の工夫がみられないということです。つまり、「観察の仕組み化」が行われていないという点に問題がありそうです。
次に、「情勢判断」(Orient)については、「判断」ではなく「反応」になっており、過去の学習が継承されておらず、部門間での連携も欠如しています。その結果、効果的な情勢判断が難しくなっています。
「意思決定」(Decide)の部分では、トップダウンが強く、権限委譲がなされていないため、現場での意思決定ができていない点が指摘されています。また、トップは情勢判断ができていないため、可能性を指摘するだけで決断ができていない点が挙げられています。その結果、重要なことは決定されず、それが「行動」にも悪影響を与えています。
OODAが回らない原因はトップの姿勢
A社にとっては、PDCAをトップダウンで回すのは適していますが、OODAを回すには大きな改革が必要であることが示唆されます。なかでも大きな障害になっているのがトップの姿勢です。
トップは「すべて把握したい」「失敗したくない」という気持ちが非常に強いため、自分の決定を飛ばして行動に移ることを拒否する傾向が強く、また自ら決断せずに現場に差し戻すことも多いようです。その結果、OODAは回っていかないのです。
これはいわゆる「マイクロマネジメント」と呼ばれる現象です。つまり、細かなことまですべて自分で決定しようとする管理者の経営スタイルのことです。権限委譲されなければ、現場では何も決めずに社長決裁に上げられます。仮に現場で決定したとしても、後で社長に覆されるからです。
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