すべて把握したい経営者と忖度する現場の末路 日本企業に「スピード経営」が根付かない理由

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重要なことは、経営トップは、計画の順守を指示するタスク型命令ではなく、ゴールだけを指示するミッション型命令に切り替え、現場に権限を委譲していくことです。まずはこの点を改めないかぎり、OODAを導入することは難しいといえます。

そのうえで「観察の仕組み化」が求められます。何を観察すべきなのか、いかにして情報を獲得するのかについて、関係者を集めて仕組み化していくことが求められます。この「ミッション経営」および「観察の仕組み化」から手をつけていくべきでしょう。

【成功事例】B社のマイルストーン経営

次にOODAループが比較的うまく導入されているケースについて取り上げてみましょう。ヘルス事業に取り組んでいるB社の製品開発部門の事例です。

同社の製品開発プロセスは、3つのフェーズから構成されています。第1フェーズは市場調査→情報分析→構想化戦略会議という流れで組織されています。第2フェーズは技術開発→製品開発、第3フェーズは製造→販売となります。

これらの3つのフェーズは、フェーズごとに進捗状況をチェックするステージゲートによって管理されています。ステージゲートは多くの企業で採用されているもので、マイルストーン管理と呼ばれることもあります。

これは一種のミッション経営の実践だと捉えることができます。つまり、各フェーズでの業務内容の中身についてコントロールするのではなく、所定の期限や段階において、出てきた成果を評価し、次の段階に進めるべきかどうかを検討するものです。

言い換えると、ミッション達成度のみを管理しているのであって、プロジェクトの具体的な中身をコントロールしているわけではないのです。

同社の場合、OODAは個々のフェーズの中で導入されています。第1フェーズではOODAを高速で回転させ、その過程で得られた洗練されたアイデアやプロジェクトのみを第2フェーズへと引き継いでいきます。それによって、第2フェーズに移行したプロジェクトが途中で中止されることはあっても、第1フェーズに逆戻りすることはなく、効率的な製品開発が行われています。

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