3年半ぶりの減収、メガ損保に漂うコロナの暗雲 旅行保険が急減、代わってネット損保が急伸

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損保業界全体の収入保険料は2019年度で約9.6兆円。「新型コロナの影響が長引けば、2020年度の損保業界全体の保険料は2000億~3000億円減少してもおかしくない」。ある大手損保の関係者はこう話す。

対面販売を主軸に据える大手・中堅損保に対して、コロナを追い風に業績を伸ばしているのがネット系損保会社だ。

なかでもインターネット専業のSBI損害保険は、4~5月の自動車保険の新規契約件数の前年同期比伸び率が、1~3月のそれと比べて、10%ポイント以上伸びた。

外出自粛で大手損保から切り替え

大手損保からの契約切り替えが増えたことが理由の1つだ。「外出自粛で在宅の人がテレビCMなどを見て、ネットで自動車保険を比較検討するケースが増えたためと見られる」(同社)。

同じくネット専業のイーデザイン損保も4~5月合計の新規契約件数が前年同期比で5.8%増と伸長した。三井ダイレクト損保は新規契約の自動車保険料収入(4~5月合計)が11.8%増となった。

ネット系損保は安い保険料とネットでの簡便な手続きを武器に、毎年の契約更改時に他社加入の自動車保険を切り替えてもらうのが戦略の一つだ。コロナの影響で自動車販売店や損保代理店など、対面販売による契約獲得が鈍れば、ネット系損保は今後も伸び続けるだろう。

ちなみにイーデザイン損保は東京海上グループ、三井ダイレクト損保はMS&ADグループ(三井住友海上、あいおいニッセイ同和)といったように、3メガ損保はそれぞれネット系損保を傘下に持つ。同じグループ内の変動とはいえ、保険料の安いネット系損保が伸びれば、グループ全体の収益は減る可能性も否定できない。 

少子高齢化や低成長に悩む日本で、今後、損害保険市場は大きく成長することは考えにくい。新型コロナという新しいリスクは、損保業界の未来に暗い陰を落としている。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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