3年半ぶりの減収、メガ損保に漂うコロナの暗雲 旅行保険が急減、代わってネット損保が急伸

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海外旅行が制限されたことで、旅行傷害保険の販売も落ち込んだ。

損保各社は「5月の海外旅行傷害保険の契約件数は前年同期比で95%以上の減少、国内旅行傷害保険も90%以上の減少になった」と口をそろえる。旅行需要が回復しなければ、減収基調は続きそうだ。

企業活動を支える新種保険や海上保険もふるわない。損保商品は企業の設備や生産物、経営者や従業員を守る賠償責任保険などにかけられ、事業活動が活発であればあるほど保険料収入は増える。コロナで生産や物流がストップし、設備投資も止まっている状況で損保の需要は発生しない。

特に、企業向けの賠償責任保険などの新種保険は、企業の前年度の売上高をもとに保険料が算出されるケースが多く、コロナの影響で売上高が落ちれば、保険料も安くなってしまう。

厳しい自動車保険の先行き

一方、収入保険料の約半分を占める自動車保険は、契約の更改時に補償の充実などで保険料単価向上を図っていることもあり、契約件数が減っても自賠責や傷害保険ほどの減収には至っていない。それでも、東京海上日動(0.7%増)とあいおいニッセイ同和(1.5%増)が増収の一方で、損保ジャパン(2.2%減)と三井住友海上(0.3%減)が減収と実績は分かれた。

ただ、先行きは厳しい。2020年の新車販売台数は減少必至で、大手損保の自動車保険料収入の約2割は自動車販売店経由だ。自動ブレーキなど安全運転支援装置の効果や新型コロナによる外出自粛で自動車事故は減少基調にあり、自賠責保険と同様、自動車保険にも保険料引き下げ圧力がかかりそうだ。

新型コロナの感染拡大を受け、国土交通省は各地のタクシー会社やバス会社などに、車両の一時休車を認める特例措置を発表している。利用者が減って休車中の車両の車検や自動車保険への加入が9月末まで免除される措置で、1億円近くの自動車保険料を事業会社に返還した損保会社も登場している。

大手損保以外の台所事情も苦しい。中堅損保の共栄火災は、5月の収入保険料合計が前年同期比4.5%減、日新火災は同2.0%減となり、両社とも自賠責保険は30%以上落ち込んだ。

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