抗議デモに強硬姿勢でトランプ再選はどうなる 東大の久保教授が語る混乱の背景と大統領選
慢性的な事件頻発に黒人の怒りが爆発
――今回のデモ拡大の背景についてはどう見ていますか。
きっかけとなった事件は、映像がはっきりと残っており衝撃的なものだった。ただ、このような事件は初めてというわけではなく、例えば2014年にミズーリ州のファーガソンで発生した白人警官による黒人青年の射殺事件の際にも同様に黒人の抗議運動が起きた。かなりさかのぼれば、1992年の「ロサンゼルス暴動」も警官による黒人への暴行がきっかけだ。
つまり、こうした事件はアメリカで慢性的に頻発しており、いつになったら状況が変わるのか、という黒人たちの怒りとフラストレーションが爆発した形といえる。
特に最近はみなカメラ付きのスマホを持っており、暴行のシーンをリアルに録画してSNSに発信することが容易になった。過去の事件では、報道されないことや(警察側に)否定されることも多かったが、今回のように映像で世界に発信されれば説得力が高く、否定しようがなくなる。
また、今回事件が発生したミネソタ州ミネアポリスやミズーリ州ファーガソンなどは、黒人住民の数が増えている割には黒人警官の数が少ない。黒人住民の多いワシントンDCなどはアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)のような配慮で黒人の警官も多いが、そうではなく人種的なアンバランスがあると事件が起きやすいという側面がある。
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