抗議デモに強硬姿勢でトランプ再選はどうなる 東大の久保教授が語る混乱の背景と大統領選

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現状は世論調査のとおり、バイデン氏がやや優勢ではないか。選挙の接戦州を見ても、トランプ氏は(居住地とする)フロリダなどリードすべき州で劣勢にある。前回の選挙で同氏が勝利したウィスコンシン州やペンシルベニア州、ミシガン州でもバイデン氏がリードしている。本来は共和党が強いテキサス州でも民主党の追い上げが目立つほどだ。

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トランプ氏のコロナ危機対応については、初動の遅れや「消毒液を注射すればいい」といった発言などで批判が多い。同氏にとっては経済の好調がいちばんの自慢だったが、その経済もコロナ危機で大きく崩れてしまった。それで、新規感染者がまだ増えている州が多い中で行動規制を緩めようとしているわけだが、下手をすると感染者が急増し、行動規制を再強化するという最悪の悪循環になる恐れもある。

とはいえ、2016年も選挙直前までトランプ氏不利と見られていたので、どう転ぶか予断を許さない。支持率も底堅いものがあり、今後も情勢を見続ける必要がある。

――トランプ氏はコロナ禍の責任は中国や中国寄りのWHO(世界保健機関)にあるとして攻撃を強めています。

つまりトランプ氏の選挙戦略の柱は、第1に経済再開に向けて先頭に立つこと、第2に中国叩きでコロナの責任をすべて中国に負わせること、第3に黒人暴動に対する強硬姿勢、の3つといえるだろう。

「バイデン大統領」で変わることは

――バイデン氏が大統領になった場合、どのような変化が見込まれますか。

コロナの問題については、もう少し専門家の意見をしっかり聞く。感染者数を少なくする方向でリーダーシップを取る方向になるだろう。人種問題については、明らかに軸足を被害者であるマイノリティーのほうに移していき、和解のメッセージを出すだろう。

中国については、今では民主党全体が厳しい姿勢を強めており、今後も対立が続く可能性がある。TPP(環太平洋経済連携協定)にしても今では民主党も批判的になっており、バイデン政権になったからといってすぐに加盟するということにはならない。

「アメリカ第一主義」を唱えるトランプ政権は国際協力に後ろ向きで、国際連合もWHOも機能不全を起こしており、世界第1、第2の大国である米中は正面からけんかしている。この点、バイデン大統領の場合には国際協力をもっと前面に出してくるだろう。

日本としては、アメリカが国際的なリーダーシップを取ることはいいにしても、アメリカが中国に対してあまりに宥和的になりすぎても逆に困ってしまうことになるだろう。中国に対してはある程度厳しい態度をとりつつ、国際主義を推進する方向になるかが注目点となる。中国に厳しい国際主義はありうるだろうか。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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