庄子さんは「発想を転換して、こうした問題を乗り越えていけたら」と考えている。
庄子さんの提案は、こうだ。
画面上のチャットには「そこが気になっていた」とか「いいね」「やってみたい」という声が次々に現れた。
実は庄子さんは休校になる前は、テレビ会議システム「Zoom」を扱ったことさえなかった。使い方を研究し、4月上旬から勤務校で有志の先生に向けて研修。その後「オンライン朝の会」の実施を企画書にして市の教育委員会に提出した。朝の会を学校で行ったときは、教育委員会の職員が見学に来た。市内で徐々に広がりつつある。
現在、東京都や北九州市を筆頭に感染のぶり返しが見られ、“第2波”到来の懸念は消えない。コロナとともに暮らす生活の中、「学校のNew Normal(新しい生活様式)」はどうあるべきなのか。
休校中にわかった、オンラインならではの利点
庄子さんは学校再開後も「オンラインを使っていくべきではないか」と語る。それはこの休校期間中に、オンラインならではの利点をいくつも発見したからだ。
たとえば、教室で一緒にいると、「姿勢がよくないぞ、とか、ほら早くして」となりがちだったのが、画面越しだと「お、いいね、できてるね」と肯定できるなど、つぶさに見えないぶん、過干渉にならずに済んだという。
さらに、オンライン上のチャット機能を使えば、子どもたちは一斉に意思を表示できる。恥ずかしかったり、自信がなくて挙手できないタイプの子どもたちにも、「授業に参加している」という実感を届けられるのだ。
一方の教員にとっても、指導力向上という大きなメリットがあった。朝の会を遠隔サポートすると、同僚教師のよい声掛けや工夫を知ることができた。今後もオンラインで教室をつなぐことができれば、他の先生の授業を見る機会がない小学校ではよい刺激になりそうだ。
ほかにも「オンライン保護者会や、オンライン個人面談もできるのではないか」と提案する。仕事や介護などさまざまな理由で学校に来られない保護者はきっと助かるはずだ。
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