権利の主張が「脱社畜」への王道

宇都宮健児・弁護士に聞く

2014年4月1日。やや遅まきの桜前線の北上に先駆け、この日、全国で一斉に開花したのは、希望に胸を膨らませたビジネス・フレッシュマン&ウーマンたちだ。しかし、そんな彼らを取り込もうと、虎視眈々と狙っているのが「社畜への道」である。サービス残業、消化できない有給休暇、パワハラ&セクハラによる精神的ストレスなどなど……。そんな労働環境であっても違和感を覚えない「社畜」にならないためには、どんな意識が必要なのか。市民派弁護士の雄、宇都宮健児氏と、新著『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)が好評の「脱社畜ブログ」管理人、日野瑛太郎氏に意見を交わしていただいた。

※本記事は、ダヴィンチニュースとの共同企画です。ダヴィンチニュースの記事はコチラ

「あたりまえでない」からこそ「あたりまえ」のことが注目される

──「脱社畜ブログ」は月間50万PV、新刊著書『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)も順調に版を重ねているそうですね。管理人・著者である日野さんの率直な感想は?

日野瑛太郎 ひのえいたろう●1985年生まれ。東京大学工学部卒。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学院在学中に起業するも失敗。結局、大学院修了後に民間企業に就職する。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき「脱社畜ブログ」を開設。ブログは一躍月間約50万PVの人気ブログになる。現在は会社を退職し、フリーランスでソフトウェア開発を行いながら、ブログと著書で情報発信をしている。著書に『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)、『脱社畜の働き方』(技術評論社)がある。

日野:本やブログの記事を多くの方に読んでいただけていることについては、率直にうれしく感じています。「会社」という閉鎖的な組織の中でしか通用しない独自の価値観を押し付けられて、それで苦しんでいる人が「おかしいのは会社のほうだ」と、僕の本やブログによって気づいてくれたとすれば、これに勝る喜びはありません。

とはいえ、僕の本やブログに書いてあることは、一言で言えば「あたりまえ」のことばかりです。「あたりまえ」のことばかり書いてあるブログや本が、これだけ注目されてしまうということは、それだけ日本人の働き方が「あたりまえでない」という表れでもあると思いますので、その点については素直に喜べないという気持ちも当然あります。

──複雑なところですよね。そこで本日は、日野さんのご出身である東大の先輩にもあたる、弁護士の宇都宮健児さんをお呼びしました。一緒に、法的な観点からも「脱社畜」への道を考えていきましょう。

日野:宇都宮先生は尊敬する大先輩です。

宇都宮:先輩かもしれないけど、卒業していないんだよね(笑)。

日野:いえ、在学中に司法試験に合格されたのですから、すごいですよ。

宇都宮:日野さんも大学院在学中に起業されたんでしょう?

日野:はい、うまくはいきませんでしたが……(苦笑)。

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