権利の主張が「脱社畜」への王道 宇都宮健児・弁護士に聞く

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ブラック企業の社畜になりやすい「仕事観」

──では次に、ダヴィンチNEWSが調査した20~30代男女アンケート結果(有効回答数560名)を基に、話を進めていきましょう。下のグラフは「仕事観」に関するアンケート結果です。

ダヴィンチNEWS調べ。調査対象:20~30代のフルタイム勤務者。調査方法:インターネット調査。有効回答数:560名。重複回答あり。

日野:この「仕事観」として書かれている項目は、僕が新著の中で、「社畜になりやすい人が抱いている仕事観」として列挙したものです。これらの仕事観を抱いているからといって直ちに社畜にされてしまうというわけではありませんが、こういう仕事観を「あたりまえ」だと思っている人は、少し注意したほうがいいでしょう。疑う気持ちを持たないと、社畜にされてしまっても、そのこと自体に気がつかないということになりかねません。

宇都宮:「社畜」という言葉は初めて聞くわけではないのですが、日野さんなりの定義は?

日野:著書の中では「社畜=会社と自分を切り離せない会社員」と、僕なりに定義しています。

宇都宮:なるほど。その「社畜」の定義に収まるかはわかりませんが、この前、ブラック企業に勤めていた男性社員の話を聞く機会があったんですよ。そうしたら「僕は毎日、パワハラを受けています」とおっしゃった。そこで、その内容をさらに聞いて驚いたんですが、要は毎日、殴られているとのことでした。もはや暴行罪・傷害罪という犯罪の域に入っていまして、異常な状況ですね。

日野:それは恐ろしいですね。暴力とは違いますが、僕は「やりがい」という言葉にもかなり危機感を持っています。劣悪な労働環境だとわかっていながらも「やりがいが大事なんだ」と、自分を納得させようとしている人は多いのではないかなと。本来、「やりがい」と労働環境はトレードオフではないはずなんですが、なぜか日本には「やりがいのある仕事につけるなら、多少の労働環境の悪さは目をつぶる」という考えの人が少なくありません。その辺のことは著書でも詳しく書いています。

日野氏の著書を手にする宇都宮氏

宇都宮:私も弁護士業務にはやりがいを感じていますので、気持ちはわかりますが、だからと言って会社が行う不当な行為を許してはいけませんね。

そして会社というのは、個人の快適さだけでなく、全員の心地よさが大切です。ひとりだけでやりがいを振りかざしていても、全員にとっていい職場にはならない危険性もありますね。

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