「チョコザップ」が大量出店にブレーキ踏んだ真意、トレーニングマシン故障が頻発した"意外な理由"、ジム初心者を集めて膨らんだ追加コストとは

「こんなところにチョコザップが!」
これから飛行機に搭乗するのだろうか。キャリーケースを引いて歩く家族連れの女性が思わず声を上げていた。
「阿蘇くまもと空港」の旅客ターミナルビルに直結している商業棟の1階。飲食店などが並ぶ一角にRIZAPグループ(ライザップ)の低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の店舗がある。2024年12月25日にオープンした。
台湾の半導体受託製造最大手TSMCが熊本に進出するなどし、空港利用者の増加が見込まれることから出店した。現状、利用者の数はそこそこといった水準だが、チョコザップ初の空港出店は新たな取り組みとして各種メディアで取り上げられた。
今なお話題を振りまく一方で、チョコザップの出店スピードは急激に落ちている。2024年10~12月の出店数は阿蘇くまもと空港店を含めて78店。1年前の同時期は196店だったので6割減となる。年間でも904店を出した2023年度に比べると、2024年度は400店台へ大きく減っている。
斬新さゆえに起きた想定外
チョコザップが注目された理由は、月額2980円(税別)という価格だけではない。急速な大量出店もその1つだった。
国内の小規模・24時間営業ジムの先駆けといえる「エニタイムフィットネス」は、約13年かけて1100店超の規模まで拡大してきた。対するチョコザップは、2022年7月の本格展開から2年半で1782店まで増やした。しかもFC店中心のエニタイムと違って直営店舗だ。会員数は130万人超を有する。
積極的な広告宣伝で集客して1店舗当たり会員を増やし、固定費比率を相対的に下げる――。順調に拡大してきたかに見えるチョコザップだが、ここに来て誤算が生じている。
「当初計画では想定しきれていなかった追加のランニングコストが膨らんだ」。ライザップの瀬戸健社長は、昨年前半までのチョコザップを振り返ってそう話す。いったい何が起きていたのか。

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