「バイデン大統領」ならアメリカはどう変わるか 政策大転換だが、対中強硬姿勢は不変

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もともと2大政党のイデオロギー対立が激しいアメリカでは、共和党政権なら「小さな政府」、民主党政権なら「大きな政府」とのイメージが強い。だがトランプ政権ではそうとは言えなくなっており、コロナ禍で「大きな政府」への流れが一層加速しているように見える。

トランプ政権発足以来、財政赤字と連邦債務は膨張の一途。コロナ対策での総額3兆ドル近い財政出動決定に際して財政規律は度外視され、与野党で大きな対立は見られなかった。

急進左派台頭を生んだパラダイムシフト

「アメリカでは大恐慌期からケインズ主義、大きな政府の時代が約半世紀にわたって続き、1980年代の共和党ロナルド・レーガン政権期から新自由主義、小さな政府の時代に転換したが、リーマンショック後から再びパラダイムシフトした印象が強い」と、慶大の渡辺教授は話す。

「民主社会主義者」を自認するサンダース氏が前回の予備選に続き、今回も躍進したのはそうしたシフトを象徴する現象といえる。

背景としては、リーマンショックによる雇用不安、超低金利政策で助長された格差拡大、大学授業料や医療費の高騰、異常気象や銃乱射事件の頻発など、これまでの経済政策の負の影響に対して若者を中心に不満や不安が高まっていることが指摘される。国民皆保険や大学授業料の無償化、学生ローン債務の帳消しなどを公約するサンダース氏は、彼ら若者たちにとってまさに「救世主」と呼ぶべき存在だった。

しかも、ミレニアル世代(1981~1996年生まれ)以下の若年層は、今回の大統領選で初めてベビーブーマー世代などを上回る有権者最大のブロックとなる。政治的な影響力がますます高まっているのだ。だからこそ、穏健派のバイデン氏としても、政策面や人事面などで急進左派に歩み寄らざるをえなくなっている。

トランプ氏自身、グローバル資本主義の中で苦境に追い込まれた低学歴の白人労働者層に対し、「アメリカ第一主義」を訴え当選した。従来の共和党的なレトリックでは置いてきぼりを食らった有権者の支持を集めたという意味で、同様にパラダイムシフトを象徴している。

前回の大統領選では、民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官がサンダース支持層の取り込みに失敗し、トランプ氏に敗れる番狂わせを演じた。バイデン氏は同じ轍(てつ)を踏まないためにも、本選挙に向けて「左旋回」を強める可能性がある。

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