「危険なリアリティ番組」量産するTV局側の事情 苦労しても出演者側はめったに得をしない

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彼女にリアリティ番組の味を教えたのは、お金持ち仲間のパリス・ヒルトンが主演した「シンプル・ライフ」。のちに家族の私生活を映した「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」がさらに人気を集め、家族自体をブランドにすることに成功する。

以来、ソーシャルメディアで商品の宣伝をして企業から多額のギャラをもらったり、姉妹で店をオープンしたりすることから始めたカーダシアンの事業は、今や、香水、携帯ゲーム、アプリ、最近は「Kimono」と命名して論争を巻き起こした矯正下着など、多岐に及んでいる。

今では若い頃のようにメディアに出ないものの、ヒルトンも、「シンプル・ライフ」で知名度を上げて以来、起業家として活躍を続けてきた。フィリピンには彼女のナイトクラブがあるし、コロナでどうなるかわからないが、少し前にはヒルトンチェーンとは別に彼女のホテルチェーンを立ち上げる話も出ている。海外ではブティック展開もしており、DJとしても売れっ子。香水も26種類出した。

なぜ「リアリティ番組」が量産されるのか?

リアリティ番組で儲ける人を語るなら、テレビ局と製作者も忘れてはならない。ロケにお金がかからず、一般人やあまり有名でない人たちをキャストすることでギャラも安くつくリアリティ番組は、彼らにとってお手軽に稼げるありがたい存在なのだ。

当たれば次々に新たなバージョンを作ることができるし、クオリティの高い脚本が不要なので、脚本家のストライキが起こったりした時にも強い。だからこそ、手を替え、品を替えては、リアリティ番組を作り続けるのである。

コロナと共生する時代、その需要はさらに高まるかもしれない。撮影クルーの人数が少なくて済み、都合が悪くなればキャストも簡単に変更可能なフォーマットは、制限の強くなった撮影現場でも柔軟な対応がしやすいからだ。

Netflixの「LOVE IS BLIND〜外見なんて関係ない!?〜」の大成功も、その傾向を後押ししそうである。壁の向こうにいて顔の見えない男女が出会い、恋に落ちていく設定は、偶然のタイミングとはいえ、コロナで直接人に会うことが難しくなった現代に合っている。

巣ごもり状態のアメリカで社会現象にもなったこの番組は、最近2シーズン目の製作にゴーサインが出た。きっとソーシャルディスタンシングや除菌などが徹底された現場で撮影されることになるのだろう。

前述したようにリアリティ番組の出演者にトラブルはつきもの。コロナ対策はもちろんのこと、出演者たちの心の健康への対策も、しっかり行ってくれることを願うばかりだ。それは、たとえコロナの脅威が消えてからも、ずっと続けてほしいと思う。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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