先ほどのグラフを見ると、足下の実効再生産数は1未満でありながらも若干の上下が見られる。このあたりの解釈は、先ほどの報告遅れのバイアスに加え、新規感染者の絶対数などとも併せて考える必要があるだろう。
例えば、実効再生産数1が続いたとしても、日々の新規感染者が500人のときと、数人のときでは状況は大きく異なってくる。また新規感染者が1人から2人に増えた場合は、実効再生産数は2に跳ね上がる。こうした事象はすでに都道府県別の実効再生産数で起きており、新規感染者数が非常に少ない状況の中では、実効再生産数の数値だけでなく、総合的に判断する必要がある。
実際の計算式はどうなっているか
最後に、専門性の高い読者のために、実際の計算式にも触れておこう。東洋経済オンラインが掲載している実効再生産数の計算式は、次のとおりだ。
平均世代時間とは、「感染源の感染から2次感染者の感染までに要する平均時間」を指す。東洋経済オンラインでの計算では、西浦教授のアドバイスに沿って5(日)をデータに使っている。報告間隔は7(日)だ。
実効再生産数とは本来、世代時間において2次感染がどうなったかを描くものだが、ここでは計算上、報告間隔ごとのデータを使っている。そのため、「『報告期間の別で報告される患者数』を基に『世代時間の別で伝播が起こっている2次感染現象』を反映する実効再生産数を得るために、近似的な変換を行っている」と西浦教授は話す。
より詳細を知りたい方は、西浦教授の公開するGitHubリポジトリを参照してほしい。
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