東洋経済が新型コロナ「実効再生産数」を公開 感染状況を示す指標、西浦・北大教授が監修

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先ほどのグラフを見ると、足下の実効再生産数は1未満でありながらも若干の上下が見られる。このあたりの解釈は、先ほどの報告遅れのバイアスに加え、新規感染者の絶対数などとも併せて考える必要があるだろう。

例えば、実効再生産数1が続いたとしても、日々の新規感染者が500人のときと、数人のときでは状況は大きく異なってくる。また新規感染者が1人から2人に増えた場合は、実効再生産数は2に跳ね上がる。こうした事象はすでに都道府県別の実効再生産数で起きており、新規感染者数が非常に少ない状況の中では、実効再生産数の数値だけでなく、総合的に判断する必要がある。

実際の計算式はどうなっているか

最後に、専門性の高い読者のために、実際の計算式にも触れておこう。東洋経済オンラインが掲載している実効再生産数の計算式は、次のとおりだ。

実効再生産数=(直近7日間の新規陽性者数/その前の7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)

平均世代時間とは、「感染源の感染から2次感染者の感染までに要する平均時間」を指す。東洋経済オンラインでの計算では、西浦教授のアドバイスに沿って5(日)をデータに使っている。報告間隔は7(日)だ。

実効再生産数とは本来、世代時間において2次感染がどうなったかを描くものだが、ここでは計算上、報告間隔ごとのデータを使っている。そのため、「『報告期間の別で報告される患者数』を基に『世代時間の別で伝播が起こっている2次感染現象』を反映する実効再生産数を得るために、近似的な変換を行っている」と西浦教授は話す。

より詳細を知りたい方は、西浦教授の公開するGitHubリポジトリを参照してほしい。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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