中国・新興カフェ、米国で「上場廃止通告」の真因 情報開示の欠如などをナスダックが問題視

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ラッキンは不正会計の発覚から1カ月半を経ても社内調査の結果を公表できていない(写真はラッキンのウェブサイトより)

中国の新興カフェチェーンの瑞幸珈啡(ラッキン・コーヒー)は5月19日、株式を上場するアメリカのナスダック市場の上場資格審査部門から上場廃止の通告を受けたと発表した。

同社は4月2日、2019年12月期の売上高のうち22億元(約334億円)が不正に水増しされていたと自ら公表。実態解明のための社内調査に着手したが、結果はいまだ開示されていない(訳注:不正会計発覚の経緯は『中国・新興カフェ「深刻な不正会計」のつまずき』を参照)。

ナスダックからの通告は5月15日付で、上場廃止には主に2つの根拠がある。第1に、ラッキンの不正会計が(ナスダック上場企業の質や信頼という)投資家の公共の利益に懸念を生じさせたこと。第2に、不正会計を公表した後の投資家に対する情報開示が不十分であることだ。

ラッキンは通告を不服としてナスダックに聴聞会の開催を申し立てた。聴聞会は一般的には申請から30~45日以内に開かれる。そして最終的な結論が出るまで、ラッキンの株式は市場での取引が継続される。

CEOとCOOを解任、店舗は営業継続

そんななか、5月20日未明、ラッキンの創業者で董事長(会長に相当)の陸正耀氏が1カ月余りの沈黙を破って個人名義の声明を出した。「最終的な調査結果を待たず上場廃止を通告したのは思いもよらぬことで、深い失望と遺憾を覚える」と、陸氏はナスダックの対応に不満を表明した。

不正会計の発覚後、ラッキンは関係者の処分や取締役会および経営陣の刷新を進めている。5月12日には創業メンバーでCEO(最高経営責任者)の銭治亜氏とCOO(最高執行責任者)の劉剣氏の解任を発表。取締役兼高級副総裁の郭謹一氏がCEO代行に就任した。

本記事は「財新」の提供記事です

ラッキンは中国全土に約4500店を展開しているが、同社によれば新型コロナウイルスの流行が収まった後、すでに9割以上の店舗が営業を再開したという。

「仮に上場廃止になれば困難とプレッシャーが増すが、店舗の営業継続と株主の損失挽回に全力を尽くし、ラッキンのブランドを生き延びさせたい」。陸氏は個人声明のなかでそう述べた。

(財新記者:沈欣悦、尉奕陽、屈運栩)
※原文の配信は5月19日

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