新型コロナウイルスの流行は、中国IT大手の騰訊(テンセント)の業績にとって総合的にはプラスに働いたようだ。
同社は5月13日、2020年1~3月期の業績を発表した。それによれば、同四半期の売上高は前年同期比26%増の1080億6500万元(約1兆6300億円)と大幅な伸びを示し、市場の事前予想を上回った。これを受け、香港証券取引所に上場するテンセントの株価は一時437.60香港ドル(約6043円)と、2年ぶりの高値をつけた。
一方、1~3月期の純利益は288億9600万元(約4350億円)と前年同期比6%の増加にとどまった。売上高に比べて伸び率が低かった主因は、新型コロナの打撃を受けた投資部門の利益急減だ。なお決算報告書によれば、投資利益、無形資産償却、ストックオプションなどを除いた非国際会計基準ベースの純利益は前年同期比29%増の270億元(約4070億円)だった。
「ウィーチャット」のユーザーが12億人突破
ここからわかるように、新型コロナの影響は事業分野によって明暗が分かれる。中国では1月下旬からのロックダウン(都市封鎖)をきっかけに、多くの人々が以前より長い時間をオンライン上で過ごすようになった。その恩恵を受けたのがオンラインゲーム、動画配信や音楽配信などのデジタルコンテンツ、そしてネット広告の各事業だ。
テンセントの対話アプリ「微信」(ウィーチャット)は、1~3月期に交わされたメッセージの総数および使用時間がともに大きく伸長し、月間アクティブユーザー数は12億人を突破した。微信はテンセントの様々なサービスの「入り口」であり、なかでもオンラインゲームの課金売り上げは372億9800万元(約5620億円)と前年同期比31%の伸びを示した。
デジタルコンテンツ事業では、動画配信の会員数が前年同期比26%増の1億1200万人、音楽配信の会員数が同50%増の4300万人に達した。ネット広告の売上高は177億1300万元(約2670億円)と同32%増加した。
一方、新型コロナがマイナスに作用したのがフィンテック、クラウド、法人向けサービスの各事業だ。ロックダウンは中国の企業に業務デジタル化の推進を促したものの、テンセントが新規受注を獲得するための商談や入札、プロジェクト立ち上げなどの妨げになったからだ。しかし同社総裁(社長に相当)の劉熾平氏によれば、新型コロナの負の影響は4月から徐々に薄まり、5月以降のビジネスは基本的に正常化したという。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は5月14日
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