「子どもに尽くしてこそ母」という強烈な思想 「個」を消すための装置に囲まれて

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――デジタルメディアはこれからの時代に必要なことだと思うのですが、なぜ敵視されるのでしょうか?

「ネットがあると自分たちの言うことを聞かなくなる」と思っている大人が多いのではないでしょうか。

子どもが外側の世界に触れると、学校や地域以外の価値観を知ることになります。そうなると、自分たちの共同体のなかに縛りつけておけなくなります。

学校の外側では人権侵害とされることが、学校のなかでは堂々とまかり通っていることも珍しくありませんから。

休校中は学校以外の価値観に触れられる機会に

娘が小学5年生のときに、文科省のアンケートがありました。

「ふだん、どれくらいメディアにふれているか」の調査で、「読書をしている時間」と「テレビやビデオ・DVDを見たり、ゲームをしたり、インターネットをしている時間」をたずねる内容です。

しかし読書といってもくだらない本もあるし、ネットですばらしい作品だって観られます。「そこを分けても意味がないだろう」と思います。

娘も、このアンケートの意図は「デジタルメディアに長時間ふれちゃダメということだな」とわかっていました。

読書の時間を長めに答えるなどして、「クラスのみんなが嘘を書いていた」と言っていましたから(笑)。

学校というのは、人格形成にあまりにも大きく影響しています。今は休校中なので、子どもたちは通学していません。

この突然やってきた自由時間を、学校以外の価値観に触れられる機会にできたらいいと思っています。だけど子どもがずっと家にいるのは、本当にたいへんですけど(笑)。

――ありがとうございました。

(聞き手:酒井伸哉)

堀越秀美(ほりこし ひでみ)/1973年生まれ。出版社、IT系企業勤務を経てライターに。二児の母。写真は最新刊『スゴ母列伝』(大和書房)。

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