「子どもに尽くしてこそ母」という強烈な思想 「個」を消すための装置に囲まれて

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ライター・堀越秀美さんに、新型コロナウイルスの影響で休校になってみて、あらめて学校のあり方について聞きました(写真:umibe/PIXTA)  
『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)や『スゴ母列伝~いい母は天国に行けるワルい母はどこへでも行ける~』(大和書房)などを執筆し注目を集めているライター・堀越秀美さん。堀越さん自身の子育てや学校との付き合いのなかで感じていることをうかがった。

学校は「3密」の機会が多い環境なのだと気づいた

――最初に新型コロナウイルスの影響からお聞きしたいのですが、生活にはどんな変化があったでしょうか?

学校が休校になったので、小学生と中学生の娘2人が自宅で過ごすようになりました。

当記事は不登校新聞の提供記事です

子どもがずっと家にいるというのは、それ自体でとてもエネルギーがいります。「不登校の子を持つお母さんは、すごくたいへんな思いをされていたんだな」とあらためて思いました。

近年の日本では、大きな自然災害が起こるたびに「絆」の大切さが叫ばれます。

ですが感染防止を考えると「みんなといっしょ」に盛り上がるわけにはいかないから、その点はこれまでと違うところです。

考えてみると、学校には合唱や学芸会、卒業式の呼びかけといった狭い場所でみんなで1つになって大声を出す「3密」の機会が多く、ウイルスが広まりやすい環境だったかもしれませんね。

コロナウイルスの影響で、そうした学校行事も見直しが迫られるかもしれません。

例えば最近、小学校で増えつつある「音読集会」。全校児童が体育館に集まって詩などを暗唱する行事です。

とにかく大きな声を出さないと怒られるようで、みんなで叫ぶように練習していたせいか、その後に感染症が流行したということがありました。

長女が10歳のときには「二分の一成人式」がありました。狭い教室に子どもと親が集まり、子どもたちは先生が用意した「感謝の言葉」を暗唱して、親たちはお返しにJポップを歌うというもので……。

このあと、長女はインフルエンザにかかってしまい、今でも文句を言っています(笑)。これらのことを思うと、早めの休校はよい決定だったのではないかと思います。

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