「子どもに尽くしてこそ母」という強烈な思想 「個」を消すための装置に囲まれて
学校は「3密」の機会が多い環境なのだと気づいた
――最初に新型コロナウイルスの影響からお聞きしたいのですが、生活にはどんな変化があったでしょうか?
学校が休校になったので、小学生と中学生の娘2人が自宅で過ごすようになりました。
子どもがずっと家にいるというのは、それ自体でとてもエネルギーがいります。「不登校の子を持つお母さんは、すごくたいへんな思いをされていたんだな」とあらためて思いました。
近年の日本では、大きな自然災害が起こるたびに「絆」の大切さが叫ばれます。
ですが感染防止を考えると「みんなといっしょ」に盛り上がるわけにはいかないから、その点はこれまでと違うところです。
考えてみると、学校には合唱や学芸会、卒業式の呼びかけといった狭い場所でみんなで1つになって大声を出す「3密」の機会が多く、ウイルスが広まりやすい環境だったかもしれませんね。
コロナウイルスの影響で、そうした学校行事も見直しが迫られるかもしれません。
例えば最近、小学校で増えつつある「音読集会」。全校児童が体育館に集まって詩などを暗唱する行事です。
とにかく大きな声を出さないと怒られるようで、みんなで叫ぶように練習していたせいか、その後に感染症が流行したということがありました。
長女が10歳のときには「二分の一成人式」がありました。狭い教室に子どもと親が集まり、子どもたちは先生が用意した「感謝の言葉」を暗唱して、親たちはお返しにJポップを歌うというもので……。
このあと、長女はインフルエンザにかかってしまい、今でも文句を言っています(笑)。これらのことを思うと、早めの休校はよい決定だったのではないかと思います。