実は簡単!リフォームで自宅価値を上げる方法 話題のCM分離発注方式で理想の家を入手する

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日本の住宅の寿命は、平均して26年程度といわれています。欧米ではその3倍または、それ以上の住宅寿命であるのに対して、極端に短いのです。なぜでしょうか?

理由の1つは、戦後の復興期を経て日本政府の「持ち家政策」により戸建て住宅が急激に増加したからです。すなわち安価な材料と簡便な工法による決して良質とはいえない住宅が普及することになって、ウサギ小屋と揶揄されるような住宅が数多く供給されてきました。そうしてできた住宅は増改築が非常にやりにくい構造になっていることが多いです。

理由のもう1つは、日本人の核家族化とライフスタイルの変化です。かつて、日本の住宅が田の字の和室群で成り立っていた当時は、ふすまで仕切り、またはふすまを外すことによって多様な可変性を持ち合わせていました。もともと和室は極めてフレキシブルな空間なのです。つまり、家族の変化に対応できるつくりだったのです。

しかし、高度成長期、日本人の住まい方は劇的に変わっていきました。生涯において家族数がピークの時期に住宅を新築し、子どもに専用の居室を与えるようになりました。

敷地の狭さにかかわらず、浸透していった洋室志向、個室志向によって、壁で細かく仕切られた一室一室はその用途でしかなくなりました。

そしてその壁には筋交いが入れられました。耐震性を考えよかれと思って筋交いを入れるのですが、それは将来、間仕切りを壊すことを想定していないことになります。

やがて、このことが、日本の住宅の寿命を短くする一因になったと私は考えています。家族構成の変化、生活様式の変化が生じたとき、間取りを変えていくことが極めて困難となってしまったからです。

戦前の住宅のほうが寿命は長い

戦前に建てられた住宅の寿命のほうが長いことからもそれはうかがえるのではないでしょうか。また、日本では竣工時にすべてを完成品にすることにこだわりすぎている傾向があります。例えば、欧米では古い建築ほど価値を見いだし、日曜大工にいそしみながらとても大切に住み続けています。

以前、オーストラリアの知人のお宅にお邪魔した際、そこの主である老婦人が、「このテーブルクロスは私のひいお婆ちゃんが編んだものなんです。ずっとこの家で大切に受け継がれてきたんですよ」と自慢げにレース編みのクロスのお話をしてくださいました。繊細な素材であるがゆえ丁寧に手洗いしてきたとのことですが、何よりもその精神にはっとさせられました。

最近の日本の住まいは竣工時がいちばん美しく、年月とともにどんどん老朽化して数十年後には建て替えるのが当たり前になっています。それは「スクラップ・アンド・ビルド」などといわれる悪しき風潮でしょう。日本は伊勢神宮ですら、20年で壊して建て替えています。木造だからでしょうか? いいえ、法隆寺は木造でも1400年経っています。

日本では、土地だけが価値を持つものとされています。それは日本が農業国だったときの、土地だけが農作物という形の利益を上げられるという考え方に起因しているのかもしれません。日本では土地が有料で家は無料の感覚ですが、アメリカですと、家が有料で土地が無料という感覚です。

実際アメリカの家は100年以上経っているものも多いです。一方、日本の住宅は二十数年で建て替えられるのがほとんどで、耐用年数70年といわれているコンクリート造でさえそうなのですから、もったいない話です。

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