実は簡単!リフォームで自宅価値を上げる方法 話題のCM分離発注方式で理想の家を入手する
しかし、もうそんなことが通用する時代ではありません。本格的な「ストック」となりうるものを目指し、維持・改修を重ねていけるものにすることこそ、私たち日本人が置き忘れてきたものであり、取り戻さなければいけない精神なのではないでしょうか。
例えば、不変ではない家族の形にあった住まいにするためには、最初からつくりすぎないのも1つの方法です。人目につかない部屋の内装仕上げは後の楽しみにとっておくとか、最初から○○室、○○室と決めるのではなく、サブリビングとして利用し、子どもたちが成長したら2部屋にするなど、家族とともに成長する住まいの形があってもよいはずです。
ライフサイクルを建て主自身が考えて、セルフビルドの精神で住まいを変えていけたら、そしてそれが容易な構造であったら、従来の使い捨てにも似た日本の住宅事情を少しでも改善していけるのではないかと思います。
今年の3月までの20年間で、筆者が担当したCM分離発注方式の工事は計135件ありました。その内63件がリフォームなどの小規模な改修工事で、その割合は全体の47%に上ります。設計の依頼は新築が圧倒的に多い中でCM分離発注方式にはリフォームが約半分を占めているのには訳があるのです。
2006年に実施した住宅のリフォーム工事の実例を基にご説明しましょう。このプロジェクトでは建て主は当初、設計は筆者が担当し、工事は総合建設会社への一括発注を予定していました。
建て主は建築経験が豊富な方でしたので、知人の建設会社2社から見積もりを徴収しました。しかし同時にCM分離発注方式の場合の見積もりも徴収してみたいという建て主の強い希望がありましたので、専門工事業者からも見積もりを徴収し比較したものです。
総工事費が1000万円程度のリフォームなのに400万円前後の開きが生じていることがわかります。なぜ、これほど工事費に差が生じるのでしょうか。
リフォーム工事の見積もりは簡単ではない
実はリフォームの工事費を正確に見積もるのは簡単ではありません。築年数にもよりますが、新築よりも難しい部分がとても多いのです。
建設時の図面が残っていないケースも珍しくありませんし、図面があっても工事中に変更をしたり、何年か前に増築などを行っていて、現況の把握が困難なこともあります。そんなときは床下や小屋裏に潜って実測調査を行い、現況図を復元してからリフォームの設計に入ります。
それでも壁の中の壊さないと見えない構造の部分や、経年劣化や漏水による腐朽、そして白アリ被害など正確に把握することは非常に困難なのです。
このように現況の状態を正確に把握できない中で、リフォーム工事の見積もりを総合建設会社から取ってみると、見えないリスクが上乗せされ高額な見積もりになることが多々あります。元請けの総合建設会社も下請けの専門工事業者も、それぞれリスク負担を上乗せしますので、二重の負担が加算されるのが原因の1つだと考えています。
一方でCM分離発注方式では、総合建設会社が入りませんのでリスク負担は基本的に専門工事業者だけになります。結果的に一括発注と比較した場合、工事費見積もりに大きな差が生じていると筆者は分析しています。
さらに1000万円に満たない比較的小規模なリフォームでも設計専業の設計事務所によって設計と監理が行われますので、CM分離発注方式を実施する建て主のメリットは大きいのです。そして今後、より多くの人が住宅の価値を上げるリフォームを実践できれば、日本の住宅事情もよりよい方向へ変わると思います。
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