日本電産と村田製、「営業減益」でも強気な理由 「非開示」相次ぐ中、業績見通しに浮かぶ自信

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永守会長は併せてトップダウン経営への回帰も掲げた。次の成長を目指すために、永守会長は「最大の失敗」とした集団指導体制と完全に決別し、関社長とのツートップ体制で改めて売上高10兆円を目指す方針を示した。

ツートップの一翼を担う関氏は社長への就任早々、新型コロナへの対応を迫られる。自動車メーカー出身の関氏に期待されるのは、日本電産が10兆円企業を目指すうえで要となる車載事業の成長だが、皮肉なことにその自動車産業は新型コロナウイルスの影響を最も強く受けている。

5G市場に意気込む村田製の新社長

車載事業の成長柱になっているEV向けトラクションモーターの受注は、2020年1月時点から3カ月で600万台積み増し、合計で1600万台になった。一方で、2020年4~6月期の車載事業全体の売上高は通常の6割程度になる見通しで、「車載事業は足元で動きが止まっている」(永守会長)。関社長は「CASEへのアプローチはコロナ前後で大きく変わらない」と話しており、「コロナ後」を見据えてさっそく手腕が試されそうだ。

新社長がコロナ対応に直面するのは村田製作所も同様だ。村田では6月に開催予定の株主総会を経て、中島規巨専務執行役員が社長に昇格する予定だ。通信モジュール事業を担ってきた中島氏は2019年の東洋経済のインタビューで、「5Gで当社(村田製作所)のチャンスは間違いなく広がる」と断言し、2020年から5Gが一段と成長するシナリオを描いていた。

だが、4月30日の決算説明会で中島氏は「社長に指名されたときにこんな(新型コロナの感染拡大)状況になるとは思っていなかった。スピード感をもって、透明度の高い経営を目指す」と語るにとどまった。

永守会長は「ピンチをチャンスにする。(新型コロナが)長引くほど必死にやったところがシェアをとる。リーマンショック時ももっと長引けば、われわれはもっとシェアを取った」と豪語する。村田製作所もリーマンショック前に実施した大規模な投資こそが、その後のMLCCの売り上げ増につながっている。

電子部品業界の大口顧客であるスマホや自動車の需要が落ち込む中、早くもコロナ後を見据えて動く両社。リーマンショック後に実現した成長軌道を今回も描き切ることができるのだろうか。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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