日本電産と村田製、「営業減益」でも強気な理由 「非開示」相次ぐ中、業績見通しに浮かぶ自信

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実際のところ村田製作所は、生産能力増強や研究開発施設の建設のために2021年3月期に約2000億円を投じ、2022年3月期も同規模の投資を見込んでいる。同時に株主還元方針も変更し、2021年3月期の配当は13円増配して1株110円の配当を予定すると発表した。これら大規模なキャッシュアウトを伴う投資や増配に踏み切ることができるのは、長期的に電子部品の需要が根強いことの裏返しだ。

村田製作所の村田恒夫会長兼社長は「2年後には5Gの普及期に入る」とみる。写真は2019年12月のインタビュー時(撮影:尾形文繁)

強気の姿勢を示したのは日本電産も同様だ。永守重信会長兼CEOは4月30日の決算説明会で「人命が第一」としたうえで、「われわれが競争相手に代わって供給する点でチャンスでもある」「競争力があるところが生き残る」と、いつもどおりの威勢のいい言葉が次々と飛び出した。

日本電産の2020年3月期(国際会計基準)は、売上高が1兆5348億円(前期比4%増)、営業利益が1103億円(前期比14.6%減)だった。売上高は計画値の1兆5000億円を上回ったが、営業利益は計画値の1350億円を大きく下回った。日本電産が注力する電気自動車(EV)向けのトラクションモーターの先行投資に伴う追加費用が発生したほか、2020年1~3月に欧州の工場の統廃合と在庫処理の一時的な費用を計上したことが響いた。

日産出身新社長の「ミッション」

一方、2021年3月期の業績予想について、永守会長は「今回は先行きのことを悪く考えていたほうがいい」として、新型コロナの影響が出ることを否定しなかったが、言葉とは裏腹に強気な数字が並ぶ。売上高は1兆5000億円とほぼ横ばいを維持し、営業利益も1250億円と前期比13.3%増の2桁回復を見込んでいる。

数字に込めた思いは徹底的なコスト削減だ。その重責を担うのが日産自動車幹部から日本電産に電撃移籍し、4月1日付けで社長に就任した関潤氏だ。関氏は足元の状況について「永守会長から『10年に1度の大掃除のチャンス』と言われている」と話し、無駄を省いていく姿勢を強調。各地の生産拠点について「改善の余地が残されている」としたうえで、「動かない在庫を置く外部の倉庫や使用していない装置の点検費用など、コロナの環境下で固定費を削減していく」とした。

日本電産は2008年のリーマンショック時に「WPR」(ダブル・プロフィット・レシオ)と呼ばれる利益倍増プロジェクトを実施。永守会長は今回もWPRを一段と加速させる方針で、「売上高が半分になっても利益をあげられる体質にする」(永守会長)ことで、コロナ収束後の利益率向上を目指す。コストが下がればその分顧客に提示する販売価格も下げられ、シェア拡大につなげられる狙いもある。

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